女性の魅力を極めた有名な絵画作品10選!各時代の女性の描かれ方から現役アーティストの作品まで解説
投稿日:(水)
目次
こんにちは!WASABI運営事務局のジョージです。
「モナ・リザ」や「真珠の耳飾りの少女」をはじめ、美術史において現代にいたるまで、多くの画家・巨匠たちによって描かれてきたモチーフである「女性」。
キャンバスに描かれた女性像には、各時代の流行りの表現方法や社会的な背景が大きく影響しています。
そこで今回は、女性を描いた有名な絵画作品や現役アーティストの作品をご紹介するとともに、時代によって変容する女性の描かれ方について解説します!
女性を描いた有名な絵画10選
1.「モナ・リザ」
引用:モナ・リザ - Wikipedia
制作年代 | 1503年 - 1519年頃 |
作者 | レオナルド・ダ・ヴィンチ |
所蔵 | ルーヴル美術館 |
レオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作にして、美術史に名を刻む名作「モナ・リザ」
その特徴は、女性の微笑みが描かれていることで知られています。また、モナリザの表情には深い謎があり、多くの人々を魅了してきました。ダ・ヴィンチは、光と影の効果を駆使し、緻密な筆致で描き上げたモナリザの表情は、常に微妙に変化しているように見え、その魅力は今なお衰えることはありません。
2.「レースの帽子の少女」
引用:レースの帽子の少女 | ポーラ美術館
制作年代 | 1891年 |
作者 | ピエール・オーギュスト・ルノワール |
所蔵 | ポーラ美術館 |
軽やかな筆致と少女のもの憂げなどこか夢見るような表情が甘美な「レースの帽子の少女」。
肌の柔らかな表現や、透き通るようなレースの質感もさることながら、注目していただきたいのが、少女の髪です。ルノワールの柔らかな筆使いが、繊細な少女の髪の質感を巧みに描いています。
女性を数多く描いてきたこそ、そのモデルの魅了を最大限引き出すことができるのです。
3.「散歩・日傘をさす女」
引用:「散歩・日傘をさす女」|西洋絵画美術館
制作年代 | 1875年 |
作者 | クロード・モネ |
所蔵 | ナショナル・ギャラリー |
この作品に描かれているのは、モネの最初の妻カミーユと当時5歳の長男ジャン。散歩で先を急ぐ2人を後ろから呼び止めて振りかえった瞬間を描いています。モネの技術と高い感性によって、光の温もり、風の匂いまで感じられ、まるで自身も同じ場所にいるような感覚すら覚えます。
実は「日傘をさす女」は3枚制作されており、2枚目以降は妻のカミーユの死後に描かれています。モデルを変え、顔の表情もはっきりしていません。亡くなった妻・カミーユを想いながら「忘れたくない風景」として描いたと思うと、切ない作品ですね。
4.「真珠の耳飾りの少女」
引用:真珠の耳飾りの少女 - Wikipedia
制作年代 | 1665年頃 |
作者 | ヨハネス・フェルメール |
所蔵 | マウリッツハイス美術館 |
17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメールによる代表作の一つ「真珠の耳飾りの少女」。この作品の特徴は、女性の表情や衣装、そして細部まで描き込まれた真珠の耳飾りの輝きなど、細かなディテールにあります。
また、画面の左側には窓から差し込む光が描かれ、女性の頬や手にも微妙な陰影が表現されています。この作品は、フェルメールの典型的なバージョンストによって描かれたもので、豊かな色彩や光の表現によって、その美しさと神秘性が際立っています。
5.「フォリー・ベルジェールのバー」
引用:フォリー・ベルジェールのバー - Wikipedia
制作年代 | 1882年 |
作者 | エドゥアール・マネ |
所蔵 | コートールド・ギャラリー |
マネがよく通っていた「フォリー・ベルジェール」という劇場で実際に働いていたシュゾンというウェイトレスを描いた作品。鏡に映った楽しげな人々とは対照的に、どこか孤立し、空虚な表情を浮かべています。
鏡に映る人々の輪郭や細部をぼかし、手前のバーの内装や備品を詳細に描写することによって、ウェイトレスの空虚な表情が強調されています。薄暗い現実と非現実の境界をはっきりと描いています。
6.「アルルの女」
引用:アルルの女 (ジヌー夫人) - Wikipedia
制作年代 | 1888 または1889 |
作者 | フィンセント・ファン・ゴッホ |
所蔵 | メトロポリタン美術館 |
アルルに住んでいたゴッホが、当地の風景や人物を描いた作品の一つ。この赤い髪の麗しい女性は、ゴッホが寝泊まりしていたカフェオーナーの妻マリー・ジヌーを描いています。
背景の黄色とジヌー婦人のコントラストが肖像画とは思えない強いインパクトを与えます。女性は黄色いドレスをまとい、右手には青い花を持っています。そのコントラストとは対照的なジヌー婦人の物思いにふける表情も印象的です。
7.「レディ・イン・ゴールド」
引用:黄金のアデーレ 名画の帰還 - Wikipedia
制作年代 | 1907年 |
作者 | グスタフ・クリムト |
所蔵 | ノイエ・ガレリエ |
クリムト作「レディ・イン・ゴールド」は、金箔を多用した美しい装飾性と、女性の神秘的で華麗な表現が特徴的な作品です。この作品に描かれたのは、当時のウィーン社交界で著名なモデルであったアデーレ・ブロッホ=バウアー夫人で、背景には彼女の邸宅の豪華な装飾が描かれています。
クリムトは、彼女の美しさを表現するために、装飾的な模様と豪華な色調を使用し、人物像を神秘的でエレガントな印象に仕上げています。この作品は、クリムトの代表作であり、美術史上においても非常に有名な作品の一つとして知られています。
8.「グランド・オダリスク」
引用:グランド・オダリスク 画家 : ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
制作年代 | 1814年 |
作者 | ドミニク・アングル |
所蔵 | ルーヴル美術館 |
けだるげな表情が惹かれる美しい裸婦を描いた本作品。女性の曲線美にこだわった柔らかく繊細な描写や、鮮やかな色彩表現、そしてオリエンタリズムの要素が見る人の魅了します。
しかし、この「グランド・オダリスク」は当時多くの批判を受けた作品でもあります。最も批判を受けたのは「非現実的な身体の構造」でした。引き伸ばされた四肢、不自然に曲がる背骨に大きな違和感を抱いた批評家が多くいたそうです。
この非現実的な構造を、美と捉えるか、不気味と捉えるかによって大きく見え方が変わるのがこの作品の魅力かもしれません。
9.「女優たち」
引用:「女優たち」|ポーラ美術館
制作年代 | 1927年頃 |
作者 | マリー・ローランサン |
所蔵 | ポーラ美術館 |
彩り豊かなバラ色のカーテンを背景に、ギターを持った女性の伴奏に合わせて、薄絹の衣装をまとった2人の抱き合う女性が幻想的な雰囲気を醸し出しています。
二人が抱擁する様子から、それが娘役と男役を演じる女優たちの関係なのか、あるいは女同士の恋愛関係なのかははっきりしません。作品に立ちこめる淡い色彩と甘美な香りが、その2人の関係性をより曖昧にします。
10.「夢想」
引用:アルフォンス・ミュシャ「夢想」|Artpedia アートペディア
制作年代 | 1897年 |
作者 | アルフォンス・ミュシャ |
所蔵 | 個人蔵 |
優雅でたっぷりと袖にひだがついた、まるで花を纏っているようなドレスの女性。彼女の背後に描かれている大きな円は、花やその茎、葉によって精密に装飾されています。
この円形の装飾模様を背景に描いた女性像は、ミュシャの作品に頻繁に用いられており、平面的な描き方は日本の浮世絵から着想を得たといわれています。
現役アーティストが描いた女性の絵画作品
1. autumn|yumi taniguchi
2.Pearl Earring|John Battalgazi
3.Instagram like 5k|KATO
4.cigarette|Juliet Smyth
5.瑠璃色曲線/ColorSoundsDrawing |神山麗子
今回ご紹介した作品以外にも、WASABIでは女性を描いた絵画作品を豊富に取り揃えています。10,000円以下で購入できる作品も多数あるので、特集ページからお気に入りの作品を探してみてください。
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各時代で変容する絵画で描かれた女性たち
引用:レッサー・ユリィ(1861~1931年)
女性が描かれた絵画には、時代や文化によって様々な意味が込められ、その変遷を辿ることで社会や芸術の歴史を知ることができます。
古代から現代まで、女性を描いた絵画には、美しさや強さ、悲しみや喜び、あるいは社会的な立場や役割など、多様なテーマが存在します。
今回は、女性を題材に多くの名画が誕生したルネサンス期から近代にかけて、その変容を解説します。
ルネサンス期|15〜16世紀
引用:海のレシピ
ルネサンス以前の中世の絵画は、キリスト教絵画や装飾写本が中心であり、形式が決められていました。人物は平面的で、無表情な顔つきをしていて彫像のようでした。
しかし、ルネサンス前期になると美術技法である遠近法や明暗法が発達し、「見たものを、見たまま描く」自然主義的に女性が描かれるようになりました。これによって、肌の質感表現はなめらかに、女性の表情や仕草は豊かに描かれているのが特徴です。
写実性を重視された前期と違い、ルネサンス後期は人体の理想を追い求め、好まれる傾向にありました。そのためルネサンス後期は女性像の肉感的・官能的な美を追求した時代といえます。
バロック時代|17世紀
引用:シュザンヌ・フールマンの肖像 - Wikipedia
バロック時代の女性を描いた絵画の特徴は、豊かな装飾性や豪華な衣装、豊かな表情や濃密な色彩表現などが挙げられます。特に、肌や衣服の繊細な質感や、光と影の表現が重視され、陰影を強調することでよりリアルな表現がされています。
また、女性のポーズや表情はしばしば官能的で、バロック美学に基づく奇抜な構図や劇的な表現が見られます。このようなバロック時代の女性像は、当時の社会や芸術の特徴を反映するものであり、現代においても美術史的な価値が高く、多くの人々に愛されています。
ロココ時代|18世紀
引用:フラゴナール【読書する娘】|アート名画館 公式ブログ
ロココ時代の女性を描いた絵画は、優美で柔らかい雰囲気が特徴的です。女性たちは、豪華なドレスや宝石を身に着け、華やかな世界にいるように描かれます。
また、曲線的で柔らかなラインや、ピンクや淡い青などの明るい色調が多く使用されているのも特徴的。女性たちの髪は、ボリューム感のあるヘアスタイルが多く、フリルやリボンが飾り立てられています。その表情は穏やかで柔らかく、愛らしさや可愛らしさが強調されることが多いです。
ロマン主義時代|19世紀
引用:民衆を導く自由の女神 - Wikipedia
ロマン主義時代の女性を描いた絵画は、情熱的で感情豊かな表現が特徴的です。その特徴は激しい動きや表情、崩れかけたドレスなど人物そのものに表れるのはもちろん、荒々しい風景や崖っぷちなど危険な環境で描かれることもありました。
また、ロココ主義の軽さや過剰な装飾性を否定し、より重厚なローマやギリシャ時代の芸術を規範とした新古典主義が誕生により、暗い色調や濃密な筆致が目立ちます。モチーフとしては、表現力豊かな肖像画や、神話や伝説を題材にした物語的な作品が多く制作されました。
近代美術|20世紀
引用:《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》|アルトネ
近代美術における女性を描いた絵画は、女性の自立や社会的地位の向上などを反映した作品が多く見られます。女性像は芸術家の内面や心理描写が強調され、時には抽象的に表現されることもありました。
その表現手法は多岐にわたり、印象派のような光と色彩の表現やシュルレアリスムのような夢幻的な表現、キュビズムのような構造そのものにアプローチをとる表現などがありました。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、女性を描いた有名な絵画をご紹介しました!
それぞれの時代や文化背景から、女性像がどのように描かれてきたのか、その変化を感じていただけたでしょうか。
現代でも、多様な価値観や美意識が存在する中で、女性美は依然として描かれ続けています。今後、新たな生み出される女性像がどのようになっていくか楽しみですね。
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