コラージュアートとは?河村康輔などの有名アーティストの作品16選
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目次
コラージュアートとは?
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コラージュは、写真や印刷物、画像などを「切り貼り」することで作り出されるイメージです。その手軽さから、難しい技術を必要とせず、アーティストのみならず、「絵が描けない」という方でも趣味として始めることができるのが魅力的です。
また、雑誌や新聞などのメディア媒体を素材とした作品も多く、シニカルでユーモアに富んだ作品が多いのも個人的に好きなポイントです。
今回は、日本で活躍するコラージュアーティストの作品を紹介しながら、その魅力と歴史を詳しく解説していきます。
コラージュの歴史や様々なアート作品を通じて、この斬新な芸術形式が持つ力や魅力に触れていただけます。どうぞお楽しみに!
日本で活躍する有名コラージュアーティスト
河村康輔
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アディダス、ユニクロなどの有名ブランドや、AKIRAをはじめとするアニメ作品とのコラボでアートワークを手がけ、日本のみならず世界中から注目を集めている河村康輔。
素材を自らの手やシュレッダーで裁断し、ミリ単位で配置するという彼ならではの手法は、これまでのコラージュアートとは一線を画します。写真や画像を再構築することによって生まれる「ズレ」と「歪み」が、見る人の頭を混乱させ、河村康輔の作品の世界へと引き込みます。
2022年4月には、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」のクリエイティブ・ディレクターに就任したことでも大きな話題となりました。
「no title」
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家族写真のコラージュ作品。
本来は満面の笑みを浮かべた微笑ましい家族の写真だと思われますが、裁断し、再構築したことにより、攻撃性のある笑みを浮かべた不穏な作品へと変貌しています。
「no title」
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こちらは2つの素材を用いた作品。
首を傾げながら我が子を愛おしく見つめる聖母マリアと、見上げながら恍惚とした表情を浮かべる女性を対照的に描かれています。
「包容力・慈悲力」と「衝動的・感情的」という、女性性がもつ二面性を表現しているようにも見えますね。
「no title」
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薔薇を題材にした作品。
再構築され、私たちの知る薔薇とは大きくかけ離れた姿になったにもかかわらず、ミリ単位の精密な調整により、本来の美しさと狂気性を両立させています。
木村カエラ ミニアルバム「ZIG ZAG」のアートワーク
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異なる写真を、目を起点に再構築したアートワーク。
まさに「見た人の頭を混乱させる」バグのような作品です。河村はこの他にも「ALI」や「藤井風」など有名アーティストのアートワークにも携わっています。
shusaku takaoka
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遊び心に富んだユニークな作品を制作するコラージュアーティスト、shusaku takaoka。
映画やアニメ、雑誌や街で見た光景など、生活する中で刺激を受けた「おもしろいもの」を吐き出すことを主軸に制作。
最近では、モナリザやゴッホなどの有名な絵画を現代風にコラージュした作品がInstagramで話題になり、国内外で話題を呼んでいます。
「no title」
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フェルメールの代表作品「真珠の耳飾りの少女」をコラージュした作品。
まだおどけない透明感のある表情で、中指を突き立てるというギャップのある構図がなんとも痛快です。
「祈りと手洗い」
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コロナ禍に製作された作品。
「祈り」を捧げる両手に、石鹸をコラージュすることによって、新型コロナウイルスの収束への願いを表現しています。
また、25枚限定で販売された本作品の収益は、全額「国立国際医療研究センター」に寄付されました。
「The Last Slic」
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原宿の「PIZZANISTA! TOKYO」とのコラボレーションで製作された作品。
古代ギリシアのレスリング選手の石像を、ピザの取り合いに見立ててユーモラスに表現しています。
「STOP WARS」
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戦争反対のメッセージが込められた作品。
爆撃機から落とされるミサイルが“平和の象徴”であるハトにコラージュされています。
Yabiku Henripue yudi(ヤビク・エンリケ・ユウジ)
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「偶然性」に身を任せた直感的な作品を制作するコラージュアーティスト、Yabiku Henripue yudi(ヤビク・エンリケ・ユウジ)。
従来の紙やデジタルプリントに加え、木版やガラス、トタンといった立体的な素材を用いた作品はミクストメディアに近いです。
そんな彼の制作スタイルは「偶然」と「衝突」。テーマを決めずにコラージュを行う過程で発生するハプニングを重視し、それによって生まれる美しさが彼の作品の特徴です。
「Untitled_04」
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木版、アルミニウム、紙によって構成された作品。
板を固定する釘も作品の一部として取り込んでいます。
「Last Minute」
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ボクシングのリングをイメージさせる作品。
動的な選手の円状コラージュは、観客の目線やカメラのレンズが集中している様子の表現のように感じます。展示の仕方にもこだわりが伺えます。
「1_2021.10.14」
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紙媒体のみをコラージュした作品。
女性の指を伝う男性の手、裸婦、ビリヤードが感覚的に配置されています。
直接的な表現はされていませんが、どこか艶かしく、セクシャルな印象を感じさせます。
「no title」
木枠、紙媒体、網、鏡をコラージュした作品。
拳銃を構えている男性の周囲の銃弾を受けたような鏡に遊び心を感じます。
yama
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対比する素材を組み合わせ、”調和や刺激”を表現するコラージュアーティスト、yama。
イベントのフライヤーデザインや、ライブペイントなどを通して自身の作品が次第に知られるようになり、2014年より本格的に活動を始めた新進気鋭のアーティストです。
素材から感じた印象や得たインスピレーションによって、先入観に捉われない作品を数多く制作しています。
「scratch」
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パッチワークのように継ぎ接ぎされた作品。
少女の虚な瞳と、雨に濡れたようなペイントが作品に不穏な空気感を纏わせています。
「uzu」
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人間が抱える不安やストレスを可視化した作品。
切り取られた頭部から溢れ出る白煙。その中から現れる魚や機械といった異なる素材によって、人によって異なる不安やストレスを表現しています。
「コラージュ怪獣 Ⅱ」
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こちらは珍しい立体物に対してコラージュした作品。
忘れ去られてしまった古いおもちゃに、雑誌や新聞の切り抜きをコラージュすることによって、新たな存在へ変化させています。
「調和」
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’’自然物と人工物の調和と収縮’’をテーマにした作品。
ぼんやりと浮かび上がる人型には、歯車や工具、植物などが絡み合っています。
コラージュアートの起源と変容
コラージュの起源
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諸説ありますが、コラージュの起源は紀元前200年ごろの中国で紙が発明された時代に使われ始めたと言われています。
しかし、10世紀に日本の書家たちが作成した詩を書いた紙を接着シートで重ねて固定するようになるまでコラージュが一般的に使われることはありませんでした。
また、ヨーロッパでは13世紀の中世ヨーロッパ時代に現れはじめ、15世紀から16世紀ごろにゴシック建築内の金箔装飾でコラージュが行われるようになります。
それにともない、宝石や貴金属を用いたコラージュが、宗教的なシンボルや紋章などにも使われ始めました。
芸術作品としてのコラージュ
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アートとしてのコラージュの起源は、基本的に1912年にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックがコラージュ(パピエ・コレ)を使い始めた頃とされています。
その最初の作品と言われているのが、1912年のピカソの「藤張りの椅子のある静物」です。ピカソは藤の椅子を絵に描く代わりに、本物の縄と藤椅子の模造符を使いました。
画面にはほかに、輪切りのレモン、ホタテ貝を表す花鋼装飾のある三角形、輪郭のみで表された透明なコップなどが描かれています。
ピカソとブラックにより、キュビズムの表現として取り入れられたコラージュは、その後、シュールレアリスムをはじめ、様々な芸術作品に用いられるようになりました。
まとめ
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いかがでしたか?
コラージュの魅力は、雑誌の切り抜きや文字、布や金属など統一性のない物を自由に画面に貼り付けることで、バラバラであるはずの物質が画面の中で調和するところにあります。
単純なようでいて、貼る際の構成や切り抜き方によって作品の印象が変わる、奥深い表現技法です。
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