モネの代表作「睡蓮」を解説|3つ時代で変容する作品の魅力とは?

投稿日:(金)

モネ 睡蓮

目次

クロード・モネ、光の詩人とも称される印象派の巨匠。

彼の作品は風景の美しさと光の魔法が融合し、私たちを幻想的な世界へと誘います。その中でも代表作《睡蓮》は、彼が人生の半分近くをかけて愛し続けた花の魅力が凝縮された連作です。

彼が描き続けた睡蓮には一体どのような魅力があったのでしょうか?
今回は、連作《睡蓮》の変容や魅力を解説するとともに、日本で《睡蓮》が観れる美術館などもご紹介します。

クロード・モネについて詳しく知りたい方はこちら

印象派の創始者 クロード・モネとは?睡蓮などの代表作やその生涯を徹底解説

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日本で絶大な人気を誇るクロード・モネを、モネの作品とともに、その生涯やモネが後世に与えた影響について徹底解説します。

モネの代表作「睡蓮」とは

モネ 睡蓮
クロード・モネ《睡蓮》1906年

《睡蓮》はクロード・モネが、フランスのジヴェルニーの邸宅にある「水の庭」の池とそこに生育する睡蓮を描いた連作です。

1890年から晩年まで制作された《睡蓮》の作品数は、1900年までの第1シリーズ、以降の第2シリーズを合わせた30年間で、約250枚にのぼります。

これだけの作品数があると、同じ風景、同じ構図の作品がいくつかありますが、その印象は様々。時間とともに変化する睡蓮や花の色彩、水面の煌めきを巧みに表現した《睡蓮》は、まさに光の画家と呼ばれるに相応しい作品といえます。

連作とは?

同じ場所やテーマを異なる角度、異なる時間、異なる季節を通し描くというモネ独自のアプローチ

睡蓮などの多くの名作の舞台となった「水の庭」

モネ 睡蓮
引用:@Salimah J

クロード・モネの《睡蓮》モチーフの源泉となった「水の庭」は、モネが1893年にジヴェルニーで購入した冠水牧草地を基に作られた庭園です。

列車の窓から見たジヴェルニーの景色の美しさに心奪われ、43歳でフランス北部にあるジヴェルニーに移り住んだモネ。
リュ川の水を引いて作られた睡蓮の池には、フランス国内の白睡蓮に加えて、南米やエジプトからの輸入栽培品種の睡蓮も植えられ、黄色、青色、白ピンクの花が咲き誇りました。

モネ 睡蓮

そんなモネの愛した「水の庭」ですが、なんと日本でも観ることができます。高知県の北川村の「モネの庭」は、フランス・ジヴェルニーの庭を忠実に再現しており、モネの作品の一部になったかのような気分を味わえます。

公式HP:https://www.kjmonet.jp/

「睡蓮」第1シリーズ

モネ 睡蓮
クロード・モネ《日本橋と睡蓮》1897-1899年

モネの《睡蓮》には、大きく分けて3つの時代があります。
それが1900年までの《睡蓮》第1シリーズ、1903年以降に制作された《睡蓮》第2シリーズ、そして最晩年に制作された大作「大装飾画」です。

1900年までの《睡蓮》第1シリーズの特徴では、「水の庭」にかかる太鼓橋を中心に睡蓮の池と枝垂れ柳が光の変化に従って描かれています。

モネ 睡蓮
クロード・モネ《睡蓮》1897年

風景を大きく切り取って描くことが多いモネですが、第1シリーズの作品は、睡蓮の花や葉を主役にクローズアップした作品が多く見受けられます。

「睡蓮」第2シリーズ

モネ 睡蓮
クロード・モネ《睡蓮の池》1907年

《睡蓮》第2シリーズでは、これまで作品の中心であった太鼓橋は描かず、水面に浮かぶ花や水面に映った空模様を描いています。

モネ 睡蓮
クロード・モネ《睡蓮の池》1907年

第1シリーズでは、太鼓橋や植物に当たる光と影の表現で時間の流れを感じ取ることができましたが、水面の空を描くようになったことで、時の移ろいをより鮮明に感じ取れるようになりました。

「睡蓮」第2シリーズ|後期

モネ 睡蓮
クロード・モネ《睡蓮》1914-1917年

そんなモネですが、1909年から1912年にかけて《睡蓮》の制作を中断せざるおえない事態に陥ります。

その最も大きな理由が白内障です。
1908年あたりから目の不調を感じていたモネは、1912年に白内障と診断。一時は、絵の具の色すら判別できないほどになったといわれています。

モネ 睡蓮
クロード・モネ《柳と睡蓮の池の眺め》1916-1919年

翌年1913年に、《睡蓮》の制作を再開するのですが、これ以降の作品は白内障の影響からか、後のゴッホの画風を連想させるような抽象的な作品が続きました。

 最晩年の傑作「大装飾画」

モネ 睡蓮
『朝』200 × 1,275 cm
モネ 睡蓮
『雲』200 × 1,275 cm

「大装飾画」は、モネが最晩年に制作した最大17mにも及ぶ大作です。

19世紀末頃から、1つの部屋を『睡蓮』の巨大なキャンバスで埋めつくした「大装飾画」を制作する構想をもっていました。

しかし、白内障による視力低下、2番目の妻・アリスと息子の死、自身に降りかかる不幸に絶望したモネは、もやは制作ができる状態ではありませんでした。

その後、手術によって目が回復し、なんとか制作を再開したモネは、残りの人生をこの「大装飾画」に全てを捧げました。

 モネ 睡蓮
『朝の柳』200 × 1,275 cm
モネ 睡蓮
『明るい朝の柳』200 × 1275 cm

こちらが睡蓮の「大装飾画」です。22枚のパネルで構成される8点の作品になっています。これらの作品の横の長さは、すべてつなげると91mという長さになるそうです。

この時、御年80歳。苦行ともいえるこの大作の制作は、絶望の縁を彷徨った晩年のモネにとって、祈りにも似た行為だったのかもしれません。

モネ、「睡蓮」が与えた影響

モネ 睡蓮

モネの《睡蓮》が残した、光と時間の表現手法は、近代の印象主義や抽象表現主義の画家のみならず、現代の美術界隈にも大きな影響を与えています。

まるで一目見てすぐに目を瞑り描いたような作品を制作する日本のアーティスト・RABENDER. M。鮮やかな色彩と配置によって構成される抽象的な作品には、後年のモネへのリスペクトを感じます。

作品

モネ 睡蓮
ルイ・カーヌ《睡蓮》

また、フランスの現代美術を牽引してきた画家・ルイ・カーヌは、モネからの影響を公言しており、激しいタッチと、形態を画面に表現する作風には、モネなどの印象派の影響がみられます。

モネの「睡蓮」が観れる日本の美術館

国立西洋美術館

モネ 睡蓮
引用:国立西洋美術館

国立西洋美術館といえば、ロダンの「考える人」の次にこの作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

国立西洋美術館では、睡蓮の他にも7点のモネ作品を見ることができます。都内でモネを見たい、という人にはまず一番におすすめできる美術館です。

公式HP:https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

ポーラ美術館

モネ 睡蓮
引用:ポーラ美術館|Wikipedia


箱根の観光スポットとしても有名な「ポーラ美術館」は、睡蓮以外にもモネの作品を多数所蔵しており、モネの作品を堪能できる、国内有数のアートスポットです。

ポーラ美術館にはこの他にも20点以上モネの作品が所蔵されていますので、モネ好きの方はぜひ足を運んでみてくださいね。

公式HP:https://www.polamuseum.or.jp/collection/

 

まとめ

いかがでしたか。

本記事では、《睡蓮》の連作がどのように変容し、どのような魅力を持っているのかを解説しました。

モネの《睡蓮》は、自然の美しさと印象主義のスタイルを追求しながら、睡蓮の池の光と色彩の変化を独自の表現で描き出しています。

彼の制作過程や背景に触れることで、作品の魅力がより深く理解できるでしょう。

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Q&A

Q. 「睡蓮」シリーズにはいくつの作品がありますか?

「睡蓮」シリーズは、モネが約30年にわたって制作した作品の集合体です。具体的な作品数は定かではありませんが、数十点以上の作品が存在すると考えられています。

Q. 「睡蓮」が描かれた場所はどこですか?

「睡蓮」は、モネの庭があるフランスのギヴェルニーという場所で描かれました。彼の庭には美しい睡蓮の池があり、そこが彼の創作の源泉となりました。

Q. 「睡蓮」の色使いや筆使いについて教えてください。

「睡蓮」の作品は、明るく鮮やかな色彩と柔らかな筆使いが特徴です。モネは光の表現に注力し、色彩を重ねて独自の印象を生み出しました。彼の技術と感性によって、花々や水面の描写が繊細かつ感動的に表現されています。

 

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