現代アートとは?基本知識や楽しみ方、有名アーティストをわかりやすく解説
投稿日:(火)
目次
みなさんこんにちは。WASABI運営事務局です。
突然ですが、あなたは「現代アート」という言葉にどんな印象をお持ちでしょうか?
現代アートと聞くと、多くの人が「難しい」と感じるかもしれません。絵画は好きだが、現代アートはちょっと...と思う方も少なくないでしょう。
しかし、この不明瞭さや新しさこそが現代アートの魅力。未知の領域には、驚きや新しい発見が待っています。
この記事では現代アートの成り立ちとその歴史、ジャンルや有名なアーティストまでをわかりやすく解説します。
ぜひご参考ください!
現代アートとは
引用:Pinterest
現代アートは、20世紀後半から現在にかけての芸術を指し、従来の枠を超えた多様な表現が特徴です。
伝統的な絵画や彫刻だけでなく、インスタレーションやパフォーマンス、デジタルアートなど、新しい技術や手法を取り入れた作品が多いです。
一見難解に感じるかもしれませんが、アーティストのメッセージや背景を知ることで、深い魅力を感じることができます。
なぜ現代アートは「わからない」と言われるのか
ソース
結論から言うと、現代アートが「鑑賞者に思考を求める芸術」であるからです。
思考を前提として制作されている作品が多いので、「なんでこの作品がアートなの?」となることもしばしば。
最初に作品を見たときは、誰しも「わからない」のです。
その「わからない」「どうして?」が現代アートを楽しむための第一歩。
そこから「コンセプトはなんだ?」「なんでこの作品を作ったんだ?」と好奇心に思考を巡らせると、鑑賞がジワジワと面白くなってきます。
ここからは現代アートがよりわかる・楽しめるポイントをご紹介します!
現代アートの楽しむためのカギは「好奇心」と「思考」
引用:Pinterest
現代アートは、単に色や形の美しさを楽しむだけでなく、観る者の思考を刺激するアートです。
もちろん、直感的・視覚的に楽しめる作品もたくさんあります。
その背後にある「何をコンセプトとし、作家はこの作品で何を表現したいのか」という点を考察する思考ゲーム的な楽しみ方が、現代アートの醍醐味
視覚的な情報だけではなく、政治や宗教、社会情勢などの知識と絡めて鑑賞すると、作品の深みをより感じることができます。
好奇心旺盛・考えることが好きな人におすすめ
前述したことを踏まえると、日常的に周りのものに対して疑問を持つような好奇心旺盛な方や、物事について自分なりに深く考えることが好きな人は、現代アートにハマりやすいといえるでしょう。
現代アートがよりわかる!美術史の3つのポイント
現代アートはこれまでの美術の歴史を知ることで、より理解しやすくなります。ここで西洋美術史の要点を3つに分けてサクッとご紹介します。
⑴伝えるための手段としての絵画
聖女マリアを描いたイコン:「ウラジーミルの生神女」
ギリシャとローマを経て、キリスト教の普及とともに、聖書や聖人を描いた聖画が人々に広まりました。この時期の絵画は芸術というよりも、人々に聖書の内容を伝えるための手段としての側面が強いです。
⑵「写真」の登場
1844年にデービッド・オクタビウス・ヒルによって撮られた写真
その後、新古典主義やロマン主義、写実主義などの様々な美術様式が誕生。これらは異なるテイストでありながら、リアルな描写を追求していました。
しかし、写真の出現により、絵画のリアルな再現性の必要性が薄れ、アートの方向性が大きく変わることになります。
⑶「絵画である必要性」を探究する近代
ピカソ:「ゲルニカ」
その後、画家達は「絵画でなければ表現できないもの」を探求し、絵画の自由性が大きく広がることとなります。
近代では、色彩豊かな「印象派」や形を分解した「キュビズム」など、写実から離れた新しい美術様式が生まれ、現代アートの基盤が築かれました。
現代アートに至るまでの美術史は、革命の連続であり、画家や批評家達は「絵画の絵画性とは何か」について常に考えさせられるようになります。
現代アートの始まり
現代アートの父「マルセル・デュシャン」
ソース
マルセル・デュシャンは、現代アートの父と称され、その礎を築いたアーティストです。
彼は従来の「目で楽しむアート」から、「思考を刺激するアート」への転換を提唱しました。
これまで、芸術という大きな括りの中で「絵画の絵画性とは」「彫刻の彫刻性とは」ということが議論されてきました。
しかし、デュシャンはその前提である「芸術か、芸術でないか」ということを問題化したことが革命的だったといえます。
現代アートの出発点「泉」
ソース
そんなデュシャンの代表作である「泉」。
1917年、NYのアンデパンダン展に男性小便器に「R.Mutt」とサインされた作品が匿名で出品されました。
この展示は「誰でも出品できる」というポリシーで知られていたにも関わらず、この作品は展示が許されませんでした。この出来事から、当時のアート界でのこの作品の異端性が感じられます。
一見すると「これがアート?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、その疑問を投げかけること自体が、デュシャンの狙いである「思考を刺激するアート」なのです。
現代美術(アート)と近代美術の違い
現代美術と近代美術で異なる点は、時代とアプローチの仕方にあります。
近代美術とは、一般的に1860年代から第一次世界大戦まで続いた芸術様式を指します。それまでの伝統的な美術様式から脱しようと、印象派やキュビズム、シュルレアリスムなど視覚的な新しさを求めた様式が数多く生まれました。
現代美術は、1917年のデュシャン以降や第二次世界大戦以降など諸説ありますが、一般的には第二次世界大戦後の1950年代からといわれています。
伝統的な美術様式から脱しようとする方向性は近代と同じですが、現代美術では視覚的な要素にとどまらず、概念やアイデアを重視した実験的な表現が特徴です。
現代アートのジャンル
コンセプチュアル・アート
ジョセフ・コスコース《One and three Chairs》(1965)
コンセプチュアル・アートは、1960年代から1978年にかけて特にアメリカで流行したアートのスタイルです。
このアートは、作品の外見や技術的な完成度よりも、「作品の背後にある考えやアイディア」を重視します。デュシャンが提唱したこのアートの考え方は、現代アートの基盤ともなっています。簡単に言えば、作品の「意味や考え」が中心のアートです。
ポップアート
ロイ・リキテンシュタイン《ヘアリボンの女》(1965)
ポップアートは1950年代半ばのロンドンで生まれました。第二次世界大戦後、多くの国で工業が急速に発展し、大量生産・大量消費の文化が広がりました。
ポップアートはそんな時代背景の中で、身近な暮らしの中にあるモノをテーマにした表現活動と言えます。
▼ポップアートについて詳しく解説
インスタレーション
teamLab(2019)
インスタレーションは1970年代に登場したアートの形式で、空間全体を作品として演出します。従来の「見る」アートとは異なり、訪問者は作品を「体験」します。
現在では、インスタレーションは多岐にわたり、彫刻やオブジェだけでなく、映像、音楽、光、センサー技術などを取り入れた作品も増えており、アートの可能性が広がっています。
メディアアート
メディアアートは、1990年代からテクノロジーの進化と共に注目されるようになった芸術の一分野です。このアートは、コンピューターや電子機器を活用して、新しい表現方法を探求します。
特に、鑑賞者の動きや体温をセンサーで感知し、それを作品に反映させるインタラクティブ・アートが人気です。また、WebサイトやSNSを通じて展開されるインターネットアートや、音、映像、光を駆使して空間を演出するインスタレーションアートもメディアアートの代表的な形式として知られています。
パフォーマンスアート
パフォーマンスアートは、1960年代から注目されるようになった、アーティストの身体を中心とした芸術表現です。この動きの初期には、アラン・カプロウの「ハプニング」やフルクサスのイベントが特に有名で、パフォーマンスアートの基盤を築きました。
パフォーマンスは、路上、ギャラリー、美術館など、さまざまな場所で行われます。一般的なアート作品とは異なり、パフォーマンスアートはその場での一時的な表現であり、恒久的な展示を目的としないことが多いです。
この一過性と、美術館などの制度に対する反骨精神が、パフォーマンスアートの魅力とも言える特徴です。
スーパーフラット
村上隆《フラワー》(2002)
2000年に村上隆が提唱した「スーパーフラット」は、伝統的な浮世絵や現代の漫画・アニメの要素を組み合わせたアートの概念です。
このスタイルは、平面的で立体感がなく、遊び心が感じられる特徴があります。さらに、これは日本の美術と大衆文化の間に明確な境界がないこと、つまり「フラット」な文化を反映しています。
有名な現代アーティストと作品
アンディ・ウォーホル
ソース
アンディ・ウォーホルは、ポップアートの代表的なアーティストとして知られています。彼は、大量生産・大量消費が主流だった時代のアメリカを背景に、シルクスクリーンという技法を活用しました。
この技法を用いて、彼は大衆的なアイコン、例えば有名女優マリリンモンローやキャンベルスープ缶などを派手な色彩で作品化しました。ウォーホルの作品は、アートに詳しくない人々にも広く認知されており、彼のシルクスクリーンのマリリンやスープ缶は、多くの人々にとってお馴染みのイメージとなっています。
これらの作品を通じて、ウォーホルは大衆文化とアートの境界を曖昧にし、新しいアートの形を提示しました。
草間彌生
ソース
草間彌生は、その独特な水玉模様で国際的に知られる日本を代表するアーティストです。彼女の作品の背景には、幼少期からの幻視や幻聴の体験があります。これらの体験を元に、彼女は網目模様や水玉模様を多用した絵画を制作し始めました。
これらの模様は、彼女のアートワークの特徴として広く認知されており、草間彌生自身も「水玉の女王」として称賛されています。彼女の作品は、個人の体験と普遍的な美を結びつけることで、多くの人々に感動や共感を与えています。
村上隆
ソース
村上隆は「スーパーフラット」の創始者として知られるアーティストです。彼は東京藝術大学で日本画の博士号を初めて取得し、日本のオタク文化に深く影響を受けました。
特に、漫画やアニメの特有の線画や塗り方と、伝統的な日本絵画との間に共通点を見つけました。日本国内では、彼のお花(フラワー)デザインのアパレルブランドとのコラボが特に有名です。
しかし、彼のアートはそれだけに留まらず、等身大のフィギュア制作など、立体的な作品も多数手掛けています。
バンクシー
ソース
謎多きグラフィティアーティスト、バンクシー。彼の活動は1990年代から始まり、今や世界的に有名ですが、本名や顔、年齢などのプロフィールは一切公開されていません。
彼は突如として世界の都市に現れ、壁に強烈なメッセージを残して去っていきます。そのスタイルはまるでテロリストのよう。
しかし、彼の作品は「反戦」や「反資本主義」といった社会的なテーマを持ち、多くの人々に深い印象を与えています。
KAWS
ソース
KAWSは、特徴的な(××)の目のキャラクターで知られるアーティストです。かつてアニメーターとして活動していた彼は、アニメや漫画のようなポップカルチャーから大きな影響を受けています。
彼の作品は、既存のキャラクターを独自の色使いで再解釈し、ポップなスタイルで表現しています。著作権ギリギリで、見た人に既視感を思わせる絶妙なラインを攻めています。
多くの芸能人や有名アーティストからも支持を受けているのも特徴です。
ダミアン・ハースト
ソース
ダミアン・ハーストは、1990年代の英国のアーティスト集団「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)」の中心人物です。
彼の作品は「死」をテーマにしており、ホルマリンで保存された動物(サメや羊、牛など)を使ったシリーズ『自然史』が特に有名です。
さらに、ハーストはアートとビジネスの融合で知られています。彼はギャラリーやディーラーを介さず、直接作品をオークションに出品して大きな利益を得るなど、アート界での「金」に関する話題の中心となっています。
WASABIで活躍する現代アーティスト
大橋澪
多くのアーティストが社会や内面をテーマにする中、彼女は「空間を美しくするアート」をコンセプトに制作。
大橋澪の作品は「美」を追求し、華やかでモダン。そのアートは、部屋を一層洗練された空間に変える魔法のような力を持っています。
大橋澪のアート・絵画
渋田薫
音楽や自然の音をテーマにしており、その自由な曲線からは風の音や虫の羽音など、さまざまな「音」を感じさせます。
部屋に飾れば、その場の雰囲気が明るくなり、会話も自然と活気づくでしょう。
渋田薫のアート・絵画
都築崇広
引用:公式HP
家の外壁のシミや汚れは、都市や森林に。
構造や木目が特徴的な建築素材は、ビルのチラシの切り抜きとコラージュして街に。
私たちが何気なく使っているもの、眺めている景色も、視点ひとつ変えるだけで作品になり得ると考えると楽しいですよね。
都築崇広のアート・絵画
日本のアート市場と現代アート
ソース
日本のアート市場は、他の先進国と比べると小規模であるとの印象が強かった。しかし、コロナ禍による自宅での過ごし方の増加や、アーティストのSNSを通した積極的な発信により、市場は大きな変動を見せています。
2022年3月の「SBIアートオークション」では、最終取引金額が12億8000万円という驚異的な数字を記録。さらに、「アートフェア東京2021」、国内最大のアートイベントでは、来場者数が4割減少したにも関わらず、過去最高の売上を達成しました。これらの動きから、日本のアート市場が新たな活気を帯びてきていることが伺えます。
まとめ
いかがでしたか。
現代アートは、アーティストと鑑賞者の対話の中で深まります。
一見理解しにくい作品も、背景や制作意図を考えることで新しい視点が開かれます。作品の背後にある「なぜ?」を探ることで、アートの魅力をより深く感じることができます。
ぜひこの機会に現代アートの世界に一歩踏み出してみてください!
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