ロココ美術とは?その特徴や有名な絵画作品までわかりやすく解説
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みなさんこんにちは。WASABI運営事務局のジョージです。
他にはない華やかさと女性的な色彩が魅力的なロココ美術。
現在も開催されている「ルーヴル美術館展 愛を描く」では、ロココ美術の絵画が多く取り上げられており、人気を博しています。
この記事では、そんなロココ美術の特徴や、代表的な画家や作品をわかりやすく解説します!絵画以外にもロココ美術の建築についてもご紹介するので、ぜひご参考ください。
ロココ美術とは
引用:Pinterest
ロココ美術は、18世紀中期から後期にかけて主にヨーロッパで栄えた芸術運動です。
この美術様式は、バロック様式から派生し、その特徴は軽やかで優美なデザイン、自然の要素への傾倒、そして愛や楽しみを称賛することにあります。
ロココ美術は、当時の社会と文化の変化に応じて発展し、美術館や宮殿、貴族の邸宅の内装に多く見られました。
ロココ美術3つの特徴
1. 軽やかで優美なデザイン
ロココ美術の絵画は、その軽やかで優美なスタイルが特徴です。作品は曲線的なデザイン、柔らかい色彩、繊細な筆致で描かれ、視覚的に優雅さと軽快さを表現しています。
2. 自然の要素への傾倒
ロココ美術は自然を崇拝し、多くの作品に自然の要素が取り入れられています。
植物、鳥、虫、風景がしばしば描かれ、宝石箱や調度品にも自然のモチーフが見られます。
3. 愛や楽しみの称賛
ロココ美術は愛や楽しみ、娯楽に焦点を当てたものが多いのも特徴。愛のテーマや宴会、音楽、舞踏が多くの作品に描かれ、快楽を賛美しています。
例えば、フランソワ・ブーシェの「恋人たちの逃避行」は、愛と逃避の情熱的な場面を美しい色彩と共に描いた代表的な作品の一つとして知られています。
バロック美術から派生した背景
同じ時代に存在したバロック美術とロココ美術ですが、その特徴は正反対。
光と影のコントラストが強く劇的なバロック美術に対して、ロココ美術は軽やかで優美な印象の美術様式でした。
一体なぜ、ここまで極端な美術様式が共存していたのでしょうか。
そこには、美的価値観だけでなく社会的な背景の変化も関係しています。
宗教と密接だったバロック美術
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宗教改革や対抗宗教改革の時代に誕生したバロック美術。この時期の美術は宗教的な要素が強調され、教会や王宮による広範な支援を受けていました。
バロック美術は力強く、宗教的なメッセージを効果的に表現するためにはぴったりな美術様式だったといえます。
王権の弱体化により主役は貴族へ
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17世紀後半から18世紀初頭にかけて、多くのヨーロッパ諸国で王権が弱体化し、貴族や富裕層の影響が増加しました。
これにより、美術の支援者が変わり、ロココ美術は貴族や富裕層の好みに合わせて発展していくことになったのです。
その結果、作品の対象は「王」ではなく「個人」に、宮廷での娯楽、舞踏、音楽が重要視され、これらの要素が美術作品にも反映されたといわれています。
ロココ美術の代表的な画家と作品
「シテール島への巡礼」
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アントワーヌ・ヴァトー(Antoine Watteau、1684-1721)は、18世紀フランスのロココ美術の代表的な画家です。彼は短い生涯の中で多くの優美な風俗画や肖像画を制作し、ロココ様式の先駆者として称えられました。
ヴァトーは感受性豊かなアーティストで、彼の作品は優雅さ、浮遊感、情熱的な雰囲気で満ちています。彼は「優美な遊び」(fêtes galantes)と呼ばれるジャンルを確立し、社交的な場面や仮想的な風景を描くことで知られています。
そんなヴァトーの代表作の一つ「シテール島への巡礼」は、まさにTHE・ロココ美術といった作品。美しい風景、優雅な衣装、そして宴会を楽しむ人々を描いており、愛と楽しみの情熱が溢れ出ています。
「アモルの標的」
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フランソワ・ブーシェ(François Boucher)は18世紀のフランスのロココ美術家で、王宮の宮廷画家として名声を得ました。多彩なスタイルと技術を持ち、ルイ15世時代のフランス美術に大きな影響を与えました。
ブーシェはその軽やかな筆致と官能的なテーマ性で知られています。彼の作品は美的感覚に満ち、美しい女性、情熱的な情景、豊かな色彩で溢れています。
ブーシェの『アモルの標的』は、ロココ様式の特徴である優美で繊細な色使いが際立っています。絵には天使のそばに色とりどりの花が咲き誇り、愛の甘美さが鮮やかに表現されています。
この作品では、古典的な神話がエロティシズムと見事に融合しており、アモルたちは自由で無邪気な表情を持っています。的には多くの外れた弓矢跡が見られ、愛が美しいけれど見つけるのは容易ではないことを示唆しています。
「ぶらんこ」
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「ぶらんこ」は、ロココ美術の後期を代表するジャン・オノレ・フラゴナールの作品です。この絵は、当時の社交文化と自由な恋愛の雰囲気を魅力的に表現しています。
絵の中心には、ピンクのドレスを身に着けた若い女性が、バラが咲き誇る庭園でぶらんこに揺られています。彼女は半ば無邪気に、半ば意図的に、スカートの中が見えるほどのスイングを楽しんでいます。
この場面にはセクシュアルな要素が含まれており、下から覗く若い男性、脱げた女性の靴、外された男性の帽子、そして後ろにあるキューピッドの石像がそれを象徴しています。
一見軽薄にも感じられますが、この作品は自由な恋愛を楽しむ当時の風潮を、高度な技巧と上品さで表現したものとして高く評価されています。発表後、この絵は広く人気を博し、版画などでも多く刷られ、一般の人々からも愛されました。『ぶらんこ』は、ロココ美術の魅力的な一瞥であり、その時代の精神を見事に捉えています。
「ポリニャック公爵夫人」
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ルブラン(Henriette Browne)は19世紀のフランスの画家で、彼女は女性としては異例の成功を収めました。彼女は1814年に生まれ、幼少期から美術への情熱を抱き、その後パリで芸術家として活動しました。
優美で華やかなロココ美術の建築
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ロココ美術の建築は、その時代の社交性や気品を反映した美しいスタイルであり、優雅さと軽やかさが特筆されます。
豪華さという点ではバロック美術の建築と同様ですが、伝統的で荘厳な雰囲気とは一変、華やかな装飾やピンク、水色、クリーム色などの明るい色彩がの建築は、女性的ともいえます。
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また、バロック美術とは異なる新たな装飾「ロカイユ装飾」が加わりました。
ロカイユ装飾とは貝殻や小石、植物などのモチーフを特徴とした装飾のことで、壁や天井の室内装飾や家具装飾としてロココの時代に流行しました。
まとめ
いかがでしたか。
今回はロココ美術の特徴や成り立ち、有名な画家の作品について解説しました。
ロココ美術は、その軽やかなスタイル、自然の要素への愛情、そして愛や楽しみの称賛を通じて、18世紀のヨーロッパ社会に独自の魅力をもたらした美術様式です。
ぜひ、美術館や美術展に足を運ぶ際は、ロココ美術の作品に触れる喜びを心ゆくまで堪能してください!
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