アートの意味とは?現代アートについて知ることができるおすすめの本9選
投稿日:(水)
目次
こんにちは!アーティスト/メダカとウーパールーパー飼いのにしはるです。
今回は、アートの意味について触れられる本の紹介をしていきたいと思います。
「アートについて興味があるけど、何から知ればいいのかわからない」
「おすすめの本ってどんなもの?」
「もっと知識を深めて、アートの意味について考えたい」
そんな方に向けて、MFA(美術学修士号)を取得したアーティストがおすすめの本を選んでみました!現代アートを中心に、歴史やビジネス、最新のアートなど、知りたい目的別にまとめたので、気になった本はぜひチェックしてみてください。
「アートの意味」を知るにはまず歴史から
「アート」という言葉1つでも、そこには約4万年前の旧石器時代から遡るものになります。今のアートがどんな成り立ちでここまで来たのか?そんな疑問を持っている方にはこちらの2冊をおすすめします。
エルンスト・H・ゴンブリッチ「美術の物語」
美大生のバイブルと言っても過言ではないほど、日本のみならず海外の美術系学生が触れる本です。旧石器時代の洞窟壁画から20世紀のモダンアートまで、物語を読むようにアートの歴史に触れることができます。
この私も修士時代にお世話になった本で、膨大なアートの書籍を読む中、ゴンブリッチの優しい語り口で進んでいく文章にいつも救われていました。余談ですが、心の中ではいつも「ゴンブリッチ先生!!」と思っていました。それぐらい優しい語り口で美術の物語を知ることが出来ます。
興味を持たれた方は、ぜひ大型本で読むことをおススメします。過去に持ち歩きやすいポケット版も出版されているのですが、図版と文章の部分が分かれており、頻繁に文章と図版のページを行き来するのが大変でした。その点、大型本は文章も図版も一緒なので、見やすさ、読みやすさの観点からも大型本がおススメです。
ハル・フォスター、ロザリンド・E・クラウス他「ART SINCE 1900:図鑑 1900年以後の芸術」
ゴンブリッチの「美術の物語」は20世紀ぐらいで終わってしまうので、それだけではまだ現代まで少し遠い印象が残ります。そこから現代までの橋渡しとして、この本がおススメです。1900年から2010年頃まで幅広いアーティストや作品を網羅しており、図版やコラムなども豊富。「美術の物語」と同様に大型本なので、一度図書館で読んでみてから購入する手もありです。
この2冊に目を通せば大まかにアートの歴史に触れることが出来るでしょう。どちらもボリューム満点の読み応えがある本なので、その2冊に挑戦する前にざっくりとアートの歴史を知りたい、という方はこちらのコラムがおススメです。
▼コンテンポラリーアートとは?その歴史からジャンルまでを徹底解説
ビジネスの視点から見た「アートの意味」
昨今はビジネスの世界でも、アートが注目されるようになりました。アート思考やアーティストとのコラボレーションなど、彼らが作り出す創造的な作品はイノベーションの源泉とも言えるかもしれません。
ここでは、ビジネスの視点から見たアートやアート思考、アートとお金について知れるような本を紹介します。これを読むことで、とても遠いものだと思っていたアートに対して、ほんの少し近い距離感に変わるかもしれません。
山口周「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」
まず、日本におけるアート思考の出発点となった本。そもそもアート思考って何?アートとビジネスとの関連性について知りたい!という方にはおススメです。ベストセラー本なので、新書のみならずkindle版やオーディブル版でも配信されています。
尾崎哲也「現代アートとは何か」
アートとお金について知りたい人には必見の1冊。アートマーケットに関連する人物を取り上げ、複数の視点から「現代アート」について触れていくような内容です。100億円を売り上げるアート作品がどんな形で生まれるのか?この本を読むことで、まるで浮世の世界のように感じていたアートマーケットについて、少し分かるようになるかもしれません。
本だけではなかなかイメージが沸かない、逆にもっと知りたい!という方には映画「アートのお値段」もおススメです。有名なサザビーズのオークションを舞台に作品の値段が決まっていく様子をドキュメンタリー形式で見ることが出来ます。ウサギのバルーン作品で有名なジェフ・クーンズも登場しますよ。
村上隆「芸術起業論」
日本を代表するアーティストとして名前が上がることも多い村上隆。そんな彼が、いかにしてアーティストとして成功したのか?自身の経験を元に書籍化された1冊です。一般的なビジネスマンだけでなく、駆け出しの若手アーティストにもオススメの本です。
自らの作品をどのように売っていくのか?
お金なんかに縛られず、自由に表現したい!
値段だけで評価される世界が全てじゃない!
アーティストなら誰もが立ち止まり、悩み、苦悩する場所を乗り越えた人の言葉として、この本を読んでみると、きっと背中を押してもらえるでしょう。
現代アートの現場から見た「アートの意味」
「現代アート」と言ってもその種類は多種多様。イギリスのターナー賞受賞のアーティストから日本やアジア、アフリカについて触れたアートまで、様々な場所で発生している今日のアートの様子を知れる本を紹介します。
グレイソン・ペリー「みんなの現代アート」
ターナー賞を受賞したグレイソン・ペリーが分かりにくいと思われるアートについて、楽しくラブリーに書いた1冊。皮肉たっぷりの挿絵が記憶に残りますが、読み進めていくうちに様々な気付きを得るような本です。しかし、最初からいきなりアートについて語りだすので、アートについて何も知らない人には少し難しいかもしれません。
山本浩貴「現代美術史」
「アート」と聞くと多くの人が絵画を連想するでしょう。しかし、昨今のアートはそれだけではありません。パフォーマンス、ソーシャル、関係性、ジェンダー、様々なトピックの中で生まれるアートに目を向けた1冊です。特にアートワールドの中心と言われていた欧米だけでなく、日本、アジア、アフリカの美術の歴史にも触れた興味深い内容です。
こちらも内容は少し難しい部分があると思いますが、アートと社会がどのように関わっているか?という点で興味がある方は一度手に取ってみることをおススメします。
今の現代アートが知りたい!
私が本を読んだり、作品を作る中で度々感じるのは、「アートは生き物」であることです。アートの本をどれだけ読んでも、結局は美術館や街中(最近はネットも含まれるのでしょう)などで実際に発生していることが一番最先端のアートです。何故なら、本は実際に発表された作品や出来事を文章にして出版するまでにタイムラグがあるからです。
だからこそ、今の現代アートが知りたい人はぜひ、今日展示している美術館やギャラリーに行って、作品を見てみてください。そしてその中から気になったアーティスト、作品、トピックについて調べてみるといいかもしれません。
しかし、そうは言っても多少は下準備をしたいもの。そこで、ここからはまさに今、話題になっているようなアーティストを知れる本を紹介します。
日本の現代アート名鑑100
日本で活躍するアーティスト(及び団体)100組を紹介した1冊。22年4月出版なので、情報としても新しいです。今年開催予定の展示も取り上げられているので、気になっている美術館の展示の下調べにもなるかもしれません。ぜひ、ここからお気に入りのアーティストを見付けてみてください。
美術手帳
日本におけるアート系の雑誌と言えば多くの人が「美術手帳」と言うでしょう。隔月刊の雑誌なので、最新の情報や話題を知るには持ってこいの1冊です。毎回、1つのテーマについてしっかりと取り上げているので、最新号でなくても気になるテーマを取り扱っている時のものを見ても、しっかりと楽しめるものになっています。
特にNFTについて知りたい人は21年12月号の特集がおススメです。
アートの世界はすぐそばにある
いかがでしたか?今回は様々な種類のアート本についてご紹介しました。
何だか難しそうなものばかり…
ちょっと気が引けちゃう…
という方も多いかもしれません。そんな方は、一度美術館などに足を運んでみましょう。そして、そこから気になった作家や話題について取り上げている本を読んでみることをおススメします。
「アートは生き物」。どんな本に書かれていることよりも、皆さんそれぞれが体験したことが一番のアート体験です。それらをより豊かに、広げていきたいと思った時に、今日紹介した本が役に立てば嬉しいです。
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