大地の芸術祭で話題になったデジタルコラージュの魅力とは?【テキスタイル/ビジュアルプリントアーティスト ・Arisa Ihashiインタビュー】
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目次
圧倒的なインパクトとその中にある繊細さ。テキスタイル/ビジュアルプリントアーティストとして活動するArisa Ihashi。彼女の作品が生み出される背景に迫った。
Arisa Ihashiプロフィール
ビジュアルプリントアーティスト ARISA Ihashi
1994年8月3日生まれ。東京都出身
ロンドン芸術大学でファッションとテキスタイルデザインを学び、2017年に帰国。 帰国後はテキスタイルやプリント、グラフィックなど多種多様な手法を用いて「リアルからフィクションを生み出すこと」をテーマに作品を制作している。「のせでんアートライン2021」「越後妻有 大地の芸術祭2022」などに参加。
2019年DIGITAL-NONREPRESENTATIONAL-部門6位
2020,2021年 International Artist Grand Prize in Taiwanファイナリスト
ロンドンに留学されていた中で、日本で感じるアートや文化の違いはありましたか?
まず、ロンドンは美術館やギャラリーが多く、企画展以外は基本無料で見ることが出来るので、アートを鑑賞することに対しての敷居が低いことに驚きました。
子供達が学校のプログラムやイベントで美術館に行って、作品を鑑賞しながらディスカッションをしたり、その場でドローイングをしている場面を目撃する機会も多く、小さい時からアートに触れる機会が豊富にあることは日本との違いの一つだと思います。
▼彼女が実際に行ったロンドンでのFREE ENTRYだったギャラリー
作品に関することだと、私が通っていた大学では作品単体ではなく、作品の制作プロセスが描かれたスケッチブックをとても重要視していたことが私自身が感じた一番の違いですね。
そのスケッチブックは作品プロセスが描かれているだけではなく、アーティスト自身を知るための役割もあるので、いかに自分を理解し、どのように表現するのかを常に求められていました。
▼ロンドン芸術大学在学中に制作した作品写真と展示風景。
大胆な柄やモチーフ、コラージュはファッション・アートと共通して彼女のセンスから生み出される日常に現れた非日常世界そのものだ。
デジタルコラージュを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
デジタルコラージュの手法を使って制作している作品が「Trip series」。このシリーズを製作し始めた理由は、写真とは一つの表現手段であると同時に、撮影する対象や構図、様態などを通じて、自身や他者を知るツールになることに興味が沸いたことが理由の一つです。
▼rip series/【Trip series to London - Ⅱ】
例えば、私たちの身近にある携帯の写真フォルダーからは、本人の好みや興味のあるもの・ことの軌跡を辿ることが出来ます。
また、同じ対象物を撮影した場合でも、距離の取り方やタイミングなどが異なることで、撮影者が内に持っている世界や心を反映した一枚を切り取ることが出来ます。
しかし、写真単体から得られる情報はとても限定的で、異なる幾つもの写真を見比べ、特徴を掴み、見た人自身が持っている知識や感性の両方をフルに活用して読み解く必要があります。
これを自分自身に置き換えることで、新たな思考や本質を知る事ができるのではないかと思い、制作を始めました。
デジタルコラージュの魅力はなんですか?
「Trip sereis」では、「日常から生み出される非現実世界」をテーマに作品を制作しています。
このシリーズは鑑賞者の脳にダイレクトに刺激を与えるような大胆で鮮烈なビジュアルイメージと独特な模様や奇抜な色彩によって表現されており、現実には存在しえない世界が表現されています。
日常に存在するものをモチーフとし、歪みのない対象物へと再構成することで、非現実的な美しさを表していると同時に、鏡はもう一つの世界を映しだすという日本古来からの言い伝えを構図に反映しています。
文化と日常を組み合わせた世界を生み出すこと、これらを最大限表現できることがデジタルコラージュの魅力だと感じています。
大地の芸術祭でのご自身の作品の見どころを教えてください!
今回、「越後妻有 大地の芸術祭2022」で制作した「意識と自然の探索」は、緑豊かな十日町市の自然からインスピレーションを受けた作品です。
▼公開中の作品。4/29(金祝)~5/8(日)毎日、5/9(月)~7/29(金)の土日祝、7/30(土)~9/4(日)の火水以外、9/5(月)~11/13(日)の土日祝ご覧いただけます。
山や森、棚田など多くの自然に囲まれた土地で、のびのびと成長し続けた植物は、時として雪の影響により、豪雪地帯ならではの不思議な形や大きさに成長することがあります。自然が作り出すフォルムの美しさと自然界に存在しうる色彩の美しさを組み合わせ、異なる美と創造性を追求しました。
「意識と自然の探索」を制作する上で、十日町市の方々にご協力いただいて「十日町市の自然」をテーマにした写真をご提供いただきました。十日町市の歴史や自然が映し出された写真を元に制作した本作品を通じて、どんな植物が含まれているのか、どの場所に生息しているのかなど、実際に十日町市の自然を探索しながら、楽しく答え合わせをしてもらえたら嬉しいです。
越後妻有 大地の芸術祭 公式HP https://www.echigo-tsumari.jp/art/artwork/2021_01/
今後挑戦してみたいことを教えてください。
ARや映像を用いたインスタレーション作品の制作がしてみたいですね。
WASABIコラム読者に一言メッセージをお願いします!
WASABIアート通販では、様々な分野でマルチに活動しているアーティストさん達と一緒に作品を掲載していただいており、素敵な作品ばかりです。 是非、自分自身が心惹かれる作品を集めて、アートのある日常を楽しんでください。
ーArisa Ihashiさん、インタビューご協力ありがとうございました!
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