絵画の前でポーズを求められる。 衝撃を受けたサンフランシスコ美術館模様【後編】
投稿日:(金)
目次
サンフランシスコとアート
さて、サンフランシスコ徒然旅日記、中編です。 前編では、サンフランシスコのミッション地区で感じた違和感についてお伝えしました。
私は1週間ほど買い物をしたり、語学学校にいったりして過ごした後、週末に現地で出来た友人と一緒にサンフランシスコを代表する美術館に行くことにしました。
サンフランシスコはそれほど広い都市ではありませんが、美術館や博物館が多くあります。そのうちの「リージョンオブオナー美術館」「デヤング美術館」の2箇所を訪問することができました。
中編では、美術館を訪問した時の個人的衝撃エピソードについて、書いていきたいと思います。
撮影可能だからこそ、好みと向き合う時間
リージョンオブオナーは「アメリカ一美しい」とも称される美術館。 ヨーロッパのアート作品を中心に、ロダン・ピカソ・モネ・マネなどの作品を多く貯蔵している館内は、何時間も滞在できるほど広く、迷子になってしまいそうなほど。
まず驚いたのが写真撮影が可能だったこと。
日本の美術館はあまり撮影を歓迎していない印象なのですが、リージョンオブオナー美術館ではほぼ全ての作品の撮影が可能でした。
だからこそなのか、人々は熱心に絵画を見ては、どの作品を自分の手元の記録に残すべきかを検討し、自分の絵画の好みと心ゆくまで向き合っているように見えました。
私も遠慮なくiPhoneでパシャパシャ撮影。
数多くの貯蔵品の中から数点を記録に残させてもらいました。
美術館の絵画の前で、ポーズを求められる
そして2件目のデヤング美術館へ。 こちらは1895年設立の歴史ある美術館。アメリカ絵画を中心にコレクションされています。
館内を回っていると、気さくなスタッフのおじさんに声をかけられました。絵の説明をしてくれるのかなと思いきや、ある絵の前に立て、といってきます。
「???」
何故?と疑問に思いながらも素直に絵の前に立って絵を見ると、大きな虹がかかっている自然を描いた、美しい絵画。 おすすめなのかなぁ…と思いまじまじと見ていると、再びスタッフのおじさんが言います。
「逆!こっち向いて!」
絵じゃなくておじさんを見るんかい!
と盛大に突っ込みながらおじさんの方を向くと、おじさんは笑顔で「よし、カメラを貸して」とのこと。 いまいち事態が飲み込めないままカメラを渡すと、あっという間に写真をとったかと思えば、どや顔でカメラを返してくるおじさん。
その写真がこちらです。
「まるでこの絵の中にいるみたいだろ?」
とおじさん。衝撃を受ける私。
このおじさんは、来る人来る人に、こうやってサプライズを提供しているのだろうか。きっとこの絵を描いた画家も、異国からの訪問客がこの絵とコラボしているとは思うまい…。
と、なんだかとっても感動してしまいました。
日本では触り難く、崇高なもので、観覧の距離を縮めるにもなんだか気後れした「美術館の絵画」が、サンフランシスコでは気軽に写真に記録できて、ましてや絵とコラボできて、更にそれを勧めてくれたのが美術館のスタッフだったということに胸を打たれたのです。
結果的にその写真は、大切な友人と写っている記念写真でもありながら、アート作品の写真でもあるという2重の意味を持つことになりました。 そしてそれを見返すたびに、サンフランシスコの思い出と同時に、その絵画を描いたであろう画家にも思いを馳せることができるのです。
あのおじさんが特殊だったのか、誰に対してもそうなのかは未だにわかりませんが、アートが身近になったことを体感出来た素敵な美術館巡りでした。