モネの傑作「印象・日の出」について徹底解説!タイトルの由来や3つの注目ポイントをご紹介
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みなさんこんにちは。WASABI運営事務局のジョージです。
美術史において一つの転機をもたらした作品として知られている、クロード・モネの《印象・日の出》。
ル・アーブル港の朝の情景を独特の色彩と筆触で描いたこの作品は、印象派という新しい芸術運動の火付け役となりました。しかし、この絵にはただの風景以上の深い意味と背景が隠されています。
今回はクロード・モネの傑作《印象・日の出》のタイトルや印象派の由来になった経緯、鑑賞するときに注目したいポイントを解説します!
ぜひご参考ください!
「印象・日の出」とは
引用:Artpedia
《印象・日の出》とは、1872年にクロード・モネが自身の故郷「ル・アーブル港」を題材に描いた風景シリーズの1つです。
この作品は、1874年の「画家、彫刻家、版画家などの美術家による共同出資会社第1回展」で初めて公開され、印象派運動のきっかけとなりました。
《印象・日の出》は印象派の名を冠する運動の発端となった歴史的な背景も持つことから、西洋美術史において重要な作品として位置づけられています。
「印象派」の由来になった作品
美術館で展示会が開かれれば連日多くの人で賑わう「印象派」ですが、この呼称の由来は《印象・日の出》に対するある批評家の悪口がきっかけでした。
悪口から始まった「印象派」
引用:Wikipedia
1874年にモネは、同じく印象派画家であるルノワールやマネらとともに、審査のないグループ展、後の「第1回印象派展」を開きます。
しかし、当時のアート界では「鮮明な陰影と濃厚な色彩を持つ古典的な絵画」が主流であり、それに対してモネたちが提案する「優しい陰影と明るい色彩の絵画」は批評家からの厳しい評価を受けました。
特に、批評家のルイ・ルロワはモネの作品《印象・日の出》のタイトルを取り上げ、「描きかけの壁紙にすら劣る」と酷評。
そして、展示された画家たち全体を「印象派」と称したのです。この皮肉たっぷりのコメントが、後に「印象派」という名前の起源となったのです。
「印象・日の出」というタイトルの由来
クロード・モネ《ル・アーヴルの旧外港の風景》
モネといえば、対象を描写する際に独特のかすみがかった絵画スタイルが特徴的ですよね。
実はこの一瞬の風景や光の変化を捉えるスタイルが、《印象・日の出》というタイトルの由来となっています。
モネは後に、カタログに記載する作品タイトルを求められた際、「ル・アーヴルの風景」という単純なタイトルでは表現しきれないと感じ、"印象"という言葉を選んだと語っています。
「印象・日の出」を鑑賞するときに注目したい3つのポイント
色調とレイヤー
作品はル・アーブル港近辺のホテルからの風景をベースに、異なるグレーのレイヤーを使用して制作されています。
このレイヤー化された効果は、緻密さに欠けるものの、鑑賞者に深遠な感じを与えています。細部は簡略化され、全体のバランスを重視する表現が効果的に描かれています。
描写からみえる「フランスの再生」
クロード・モネ《ル・アーヴルの大きい波止場 》
《日の出・印象》は、ル・アーブル港の日の出を中心に、前景の小舟と赤い太陽が目を引く作品です。
しかし、中景には薄く描かれた漁船や大型のクリッパー船、蒸気船の煙突など、港の活気を感じさせる要素が散りばめられていることから、モネはこの絵で、フランスの敗戦後の復興を象徴するル・アーブル港の繁栄を描いていることが伺えます。
背景の近代的な要素と前景の伝統的な小舟は、当時のフランスの変革を示唆しているとも解釈できます。この作品は、ただの風景画ではなく「フランスの再生」とモネの愛国心を感じさせる深い意味が込められています。
太陽の描写
引用:Artpedia
作品中の太陽はキャンバス上で非常に明るく見えますが、実際の光度計での測定では、空と同じ輝度を持っています。
ハーバード大学の神経科学者、マーガレット・リビングストーン教授によれば、もし「印象・日の出」をモノクロで制作すると、太陽の部分はほとんど見えなくなるとのことです。これは、色の使用とその効果に関するモネの独特のアプローチを示しています。
「印象・日の出」が鑑賞できる美術館
引用:Pinterest
現在《印象・日の出》を鑑賞できる美術館は、パリ市内西部ブローニュの森にほど近いパリ16区にある「マルモッタン・モネ美術館」です。
《睡蓮》や《太鼓橋》を始めとした世界最大級のモネコレクションを所蔵していることで有名ですが、ルノワールやモリゾといった印象派を代表する画家の作品も多数所蔵しています。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、クロード・モネの傑作《印象・日の出》のタイトルや印象派の由来になった経緯、鑑賞するときに注目したいポイントを解説しました。
《印象・日の出》は、単なる風景画を超えた、フランスの歴史や社会背景を感じさせる作品。モネの独自の色彩感覚や筆触は、当時のフランスの再生と変革を象徴しているとも言えます。
この作品を通して、モネの深い愛国心や、彼が目指した「新しい美術」の方向性をぜひ感じ取ってみてください。
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