私がアーティストとして表現し続けるもの 【アーティストの制作現場 Vol.01】

投稿日:(水)

miotokyo_アート

目次

2022.3.9.UPDATE

今月からスタートするコラムシリーズ、【アーティストの制作現場】。このシリーズは読者の皆様へ向けて、アーティストの活動を身近に感じていただくために開始いたしました。


トップバッターとしてご登場いただくのは、コンテンポラリーアーティストの大橋澪さんです!

 

力強いエネルギーを表現したFLOWシリーズや、上品な佇まいが特徴的なSTRATAシリーズなど、数々の人気作品を生み出していらっしゃいます。(作品一覧はこちらから)


絵を始めたきっかけからご自身の「美学」まで、たっぷりとお書きいただいております。


ぜひ最後までお楽しみください!


私がアーティストとして表現し続けるもの


はじめまして。東京を拠点に活動中のコンテンポラリーアーティスト大橋澪です。「空間を豊かに・シャープに引き立てるアート」を届けることをコンセプトに絵を描いています。

今回は、私がアーティストになったきっかけや、作品で表現しているもの・想いについて、ご紹介します。


絵を描くようになったきっかけ


私は幼少期から絵を描くことが好きでした。いつも部屋にこもっては、クレヨン、色鉛筆、水彩絵の具を机の上に広げて、思いっきり何かを「表現する」ということにはまっていました。思いたったらごはんの時間も寝る時間も忘れて没頭して描いていたので、家族からは心配されていました(笑)


私は今は抽象画を描いていますが、実はそのきっかけは、一眼レフにあります。

学生時代は、ヨーロッパに住んでいたこともあり、一眼レフで写真を撮ったり、綺麗な街並みや風景を絵に描いていました。

しかしある日、「目に映る景色を絵にする」ということに、虚しさを感じ始めたんです。一眼レフでいくらでも綺麗な写真が撮れ、またPCや携帯で絵のように写真を加工することもできる中で、「写実」をテーマとする私が描く絵の存在意義ってなんだろう・・・と考えるようになりました。


そんな時に出会ったのが、絵でしか表現できない「抽象」の世界でした。

目に見える「具象物」を抽象化して描いた作品もあれば、目に見えない「音」や「香り」を描くようなスタイルの作品もあり、その幅の広さと無限大の可能性にどんどん引き込まれていく自分がいました。

これが現在の私の表現スタイルの確立につながっていきました。



私がアートで表現しているもの


冒頭で、私が目指しているのは「空間を豊かに・シャープに引き立てる作品」だとお伝えしました。作品コンセプト自体が「飾る」目的だという意味で、私のアートは少しユニークかもしれません。

自分は、芸術家よりも「デザイナー」に近いかもしれないと思っているのですが、言うなれば、私のアートは私が考える「美」の結晶なんです。


私の作品をご覧になった方からは、よく「何を描いているのですか?」と質問をいただきます。私の絵は何か具象物を抽象的に描いているわけでもないことも多々あるので、「これは何だろう?」と考えてくださる方も多いみたいです。


そんな時には、「私のアートは私の「美」の結晶であり、私が美しいと思うバランスや色を、頭に浮かんでくるままに表現している」とお答えしています。

私が綺麗だと思う色にトーンを調節し、配色・配置を考え、その直感に従って、手を動かして色を重ねていく・・・というスタイルにこだわっています。



(自作の色見本。基本的に既製品の色は使わず、自分が表現したい世界観を創る色を納得するまで混ぜて作ることにこだわっています)


もちろん、アートが必ずしも「美しさ」を追求する必要があるとは思っていません。過去の美術史の中で、「アート=美しくなければいけない」というような暗黙の前提からアートを開放した偉大なアーティストもいます。


そのようなことは知りつつも、私が「美」としてのアートを追求するのには、大きな理由があります。 それは、人間は自分が「美しい」と思うものに出会った時には、前向きなエネルギーが生まれると信じているからです。


誰しも、お気に入りの服を身に纏ったり、綺麗なアクセサリーを眺めて気分が高まるような経験をしたことがあると思います。


思い返せば、私自身も「美しいと思うもの」「好きなもの」を身近に置くことで、かなりのエネルギーを毎日もらってきました。

これは、ジャンル問わずです。


服や雑貨、アクセサリーに加え、色合いが美しい地層の写真、また腹筋が美しい海外のモデルさんの写真まで部屋に飾っていました(笑)


部屋に自分が好きなもの、「美しい」と思うものが飾ってあると、ゆるんでいた時に気が引き締まったり、なんだかやる気が出たりと、ポジティブなエネルギーをもらえていました。

これが、「美」としてのアートを追求するようになった理由であり、創作の原点です。


それからは、何を描くかの対象も抽象的になっていきました。

 

自然からインスピレーションを得たり、和モダンなテイストからインスピレーションを得たり...。

ただ共通して言えるのは、私の作品はすべて、今まで自分が「美しい」と思ってきたものを頭で再構成して表現しているということです。


私のアートの根幹にある価値観


何を「美しい」と思うかは、十人十色です。普遍的な「美」はあると私は信じていますが、とはいえ個人の感じ方・価値観は、基本的に異なるものだと思っています。

個人の価値観は、今までのその人が過ごしてきた中で培われていくものだと思っています。


例えば、私の作風は、「可愛い」よりも「かっこいい」だと言われるのですが、それは私が中高時代をヨーロッパで過ごしたことが大きく影響しています。

とにかく、男女問わずかっこいい子が多く、内面から「強く、美しく、凛としていること」が正義とされているような中で育ちました。

(英語も全く話せず、とりあえずかわいらしく笑ってやりすごそう・・・と考えていた自分にとっては、とても辛い日々だったのですが(笑))


この「強く、美しく、凛としていること」という価値観は、間違いなく私のアートに反映されていると思いますし、私もこだわって追求することを大事にしています。



アートに「多面性」を持たせる


上記でお話しした私がアートで表現しているものとその根底にある価値観を通じて、私は「多面的なアート」を目指しています。

これは、同じ作品でも、見る人やタイミング・心境等によって、与えられる印象が異なるアートのことを指しています。


例えば同じ一枚の絵でも、朝起きて1日が始まる前に見る時と、疲れて家に帰ってきてから見る時と、休日に家でリラックスしている時に見る時とで、与えられる印象が異なるような作品。

特に、私が自分の作品を通じて与えたいと考えているのは、落ち込んでいる時には元気がもらえて、何か勝負前には気が引き締まる....など、「原点に立ち返ってやる気が出る」というような、ポジティブなエネルギー/動力を生み出す作品を目指しています。


一体どうやったらこのような作品が創れるんだろう...と考えて私が行き着いた答えが、自分の「美学の結晶」を作品の中で表現することでした。


私の作品を目にした方が、その時々に応じて何かしらのポジティブなエネルギーをもらってくれたら、これ以上の喜びはありません。


自分が「美しい」と思うものを大事に


私は、自分の中にある「美学」をもっとたくさんの方が大事にできるような世の中になればいいなと思っています。


ぜひ、アート含めてオンラインでもオフラインでも、手と足を動かして「美しい」ものを探し続けてみて欲しいなと思います。

 

そして、好きな服を身にまとうのと同じように、自分の心が満たされるようなアートに出会った際には、ぜひお気に入りの空間に飾ってみて欲しいと思います。

きっと、想像以上に部屋もぐっと引き締まりますし、ふとした時にエネルギーをもらえるはずです。


ぜひこの記事を読んでくださっている方が、自分が美しいと思う、愛せるアートに出会えることを願っています。



大橋澪

ARTIST DATA

 

大橋澪

オランダ・イギリスへの留学を経て、現在は東京で活動中。世界30カ国以上旅をしながらインスピレーションを集める。 専門は抽象画で、シックさと華やかさを両立したモダンな空間に合う絵をデザインしている。モデルルーム、ホテル、法人オフィス、個人邸宅向け納品実績多数。

作品はこちらから



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