【アーティストの素顔】tadashi kitamuraインタビュー

目次

2016.10.18

アーティストの素顔

カフェオーナーかつアクリルペインター。数々の人生の転機を経て描かれるアートとは? アクリルペインターtadashi kitamuraインタビュー

WASABI責任者 平山 美聡

tadashikitamuraインタビュー




「人との交流の中で絵を描き続けたい」とカフェを開店し、カフェオーナーかつアクリルペインターという異色の肩書きを持つアーティスト、tadashikitamura。


人の手で描かれているとは思えないほど精緻な点描で描かれるアートは、どうやって生み出されたのか?
アーティストの素顔、迫ります!





北村さん、今日はよろしくお願いします。
さっそくですが…今私がいるのは、北村さんがオーナーをされているカフェなんですよね。すごく素敵な空間です。



ありがとうございます。





オーナーを務めるカフェ「ムンカフェ」。JR六甲道駅、阪神新在家駅が最寄り。





そもそも、カフェを開きながら絵を描かれているってすごく新しいライフスタイルだと思うんですが、どうしてカフェを開かれたんですか?





一番は絵だけの生活をするのではなく、人との交流を含めて絵を描き続けたいと思ったからです。 実際やってみると、食事をしながら対話する中で、絵の説明をしたり自然にコミュニケーションがとれます。


絵をみたい人と、お店のターゲット層がずれないようにコントロールして時間さえ工夫すれば、ちゃんと両立できますよ。





壁には自ら描いたアートがずらり。お客さまにも好評だ。





食事に来たお客さまが壁の絵をみてるとき、「あなたが描いたの?」っていわれてびっくりされませんか?





はい、お客さまもびっくりされますよね(笑)
「創る」ってことに関しては、料理も絵画も同じだな~と感じています。なので、料理も中途半端なものを出してはいけないと思っています。





なるほど。そうなんですよね、お料理もすっごく綺麗ですよね。







家族の転機を迎えてはじめて絵を描きはじめた



絵はいつから描かれているんですか?





6年前です。





え!意外です。もっとずっと描いているのかと思いました。
6年前っていうと、2010年の頃ですよね。何か転機があったんですか?








僕はそのときカフェの料理長をやっていたんですけど、父親が病気になってしまって。毎日父親を看病しにいってたんですが、だんだん料理も、いままでやっていた音楽も楽しめなくなっていったんです。
これは転機かな、と思いました。





もともと料理の世界にいらっしゃったんですね。





そうですね。で、この年で何をはじめようと思ったときに、「時間をモノに変えられるもの=絵を描こう!」と。 で、点描でアクリル画を描きだしました。
こんなに自分にあうものってあったんだ、と感動しましたね。





そうなんですね。
それにしても、本当に北村さんの絵って見れば見るほど引き込まれるんです。すごく丁寧だから余計にみていて気持ちがいいです。





0号の細筆を使って、ずれなく描かれる点描。





ありがとうございます。
絵を描くときのルールがあって、「絶対に手を抜かないこと」「明るく元気になる絵を描くこと」。それは絶対に守って毎日描いています。




絵具を一切混ぜずに描かれるアート



個人的に印象的なのが北村さんの絵の「青色」なんですよねー。
私青色がすごく好きなんですけど、明るいのに静かなイメージの青で絶妙ですよね。




青は、いろいろ試しましたね。
僕の使っている青はウルトラマリンという青です。クラインブルー(※フランスの画家、イヴ・クラインが開発した青色で、本人が特許を持っている)に近いですね。発色がよくて、理想の青色です。








青色のほかにも、すごく鮮やかな色使いなのに、北村さんの絵って静かな印象があるんですよね。そうですね…中東で夜に一人砂漠を見ていた感覚にすごく似てます。





そうなんですか(笑)
僕は絵に関して初心者だったので、まず自然の色をそのまま表現しようとしましたね。 例えばオウムなら、オウムの写真を撮りまくって、そこから色を分析して、そのまま描く。
アクリル絵具はそのもので色がすでに完成しているので、色は一切混ぜずに使っています。





静かで穏やかなイメージのブルー。





なるほど、自然の色ってもともと調和してますもんね。



「レコード」「ハート」モチーフに込めた想い



北村さんの絵で特徴的なのが、ほとんどの絵が「レコードシリーズ」「ハートシリーズ」で、レコードとハートをモチーフにしていることですよね。
これには何か理由があるんですか?








あえて1つのテーマで固めて、毎回色で遊んだりしようと思ってモチーフは固定していますね。
ハートシリーズについては、偶然描いたのがきっかけです。贈り物であげるのであればハートがいいなと思ったんです。男性でハートの絵を描く人はあまりいないし、それも面白いなって(笑)






たくさんハートのモチーフの絵がありますけど、この絵とか…右と左で印象が違いますよね。








この絵は右側は男性、左側は女性を表してますから、印象が違って見えますよね。ハートって漠然としてるけど、意味付けが自由に付けられるいい題材です。





抽象的だからこそ、見る側にも想像の余地があって楽しいです。





ライフワークとして、ハートシリーズは描き続けたいですね。 60歳から描くハートってどんなんやろ、とかワクワクします。





自分自身の感覚が年と共に変化するのがよくわかりそうですね!
もう1つ、北村さんといえば円型がモチーフの「レコードシリーズ」ですね。





これは、僕はもともと音楽をやってたんですよね。ツアーもしていましたが、2000年で解散しちゃいました。
それから音楽をずっと避けてたところがあったんですが、表現を音楽でしなくても絵で音楽を表現できないかな、と思って描き始めましたね。





なるほど~。確かに見ていると、疾走感のあるロックのような絵もあれば、午後の日差しの中で流れるクラシックみたいな絵もありますね。音楽がとても似合いそうです。








僕、絵を描くときはロック聞いたり、ジャズ聞いたりお酒飲みながらリラックスして描いてます。その時の音楽の影響も絵に出ているかもしれませんね。





そうなんですか!そう思ってみるともっと面白いですね。





そうですね。
絵はもちろん納得がいくまで描きこみますが、意識的に腹八分くらいでやめています。やりすぎるとガチガチになってしまう。またみたいっていう余韻を持たせられたほうが面白いし、色々想像してもらえていいです。








なんでもそうですよね。
そういういい意味での余白があるから、じっくりアートと向き合ってあれこれ想像したくなります。




親父も絵描きになりたかったみたい



北村さんは今、カフェという自分の絵を展示できる場所もお持ちなわけですけど、今後もカフェを続けながら、絵を描かれていくんですか?





理想的には、ここをもうちょっとギャラリーっぽくしたいですね。料理も空間も合わせて提供していきたいと思っています。





さらに進化していくんですね!楽しみです。
この空間は北村さんのアートによってすごく暖かい空間になっていると思うんですが、やはりそういったアーティストを目指していますか?





「観た人が暖かくなるような絵」が僕の目指すアートなので、家にあったら灯がともるようなイメージで1枚1枚描いてます。
過去を全部否定してた時もあったんですが、絵を描きはじめてから気持ちにゆとりができて、自分を見つめ直せているんです。昔は勘違いも、自分が突っ走ってたことも多かった。そんな経験も全て、絵に活かせたらと思います。








親父が亡くなってから気付いたけど、親父も絵描きになりたかったみたい。
僕は、その夢を引き継いだ感じがあります。個展がぽんぽん決まったりとか、自分が描いてるんじゃないみたいに描けたりとか。
そういう意味では家族がいつもそばについている感じがあります。 そうして支えてもらって絵が描けているんで、これからも絵を描き続けていきたいですね!





北村さん、ありがとうございました!




インタビュー後記

いかがでしたか?アーティストというと絵を描くことだけが職業と思いがちですが、北村さんは作品と自分のカフェを中心として更に活躍の場を広げています。
人生の転機は誰にでも訪れると思いますが、その時に自分の人生をどう転がしていくかを考えて思い切って変化に飛び込むとよいかもしれません。