絵の前で会えますように。【アーティストの制作現場 Vol.07】

by WASABI運営事務局

2021.08.01

アーティストの素顔

絵の前で会えますように。
【アーティストの制作現場 Vol.07】

ビジュアルアーティスト IORI KIKUCHI

(IORI KIKUCHIの作品一覧はこちらから)

(過去の【アーティストの制作現場】シリーズはこちらから)

絵の前で会えますように。


『PARIS』

2017 / Watercolor on paper / B5 size


モネに憧れて。

こんにちは、菊地伊織(きくちいおり)と申します。


1998年東京生まれで湘南育ちです。日本人ですが、英語とフランス語を話す画家で、イラストレーターで、デザイナーで、、と肩書きたくさんのアーティストです。


幼少期からフランス人画家の巨匠クロード・モネが大好きで、彼のような画家になりたく、高校時代、彼がいたパリに二度短期間で語学・アート留学をしました。


初めはモネが卒業したフランスの大学への進学を目指していましたが、実際、現代アートで私が見に行く作品は全てニューヨーク出身のアーティストでした。


そこで自分もNYの美大に進学しようと決意し、高2から英語を猛勉強し、ニューヨーク州立大学のパーチェス校に現役で進学しました。


NYの有名私立美大で教えている教授が、学費の安い州立大学でも教鞭を執っていること、またリベラルアーツな学校のため、アート以外にも一般教養も学べることから、この大学を選びました。




『NY -city night-』

2020 / Digital Art / A4 size



日本の美大と違うところは、入学後にアートについて広く学べて、自分の方向性を見つめられる点です。


日本の美大の入試は、油画科、彫刻科、デザイン科などに初めから分かれていますが、この大学はポートフォリオとエッセイと成績で試験を受けさせてくれました。


私は、そこでPaintingとDrawingを中心に、3Dやデザイン、フランス語も勉強しました。


絵を描きたいからといって、油彩なのかアクリルなのか絞るのではなく、そのほかの素材と向き合うことができ、また人種も性別も言語も違う人たちと絵を描く環境は、自分とは異なる視点を学べて刺激的な毎日でした。


その後、NYで4年間過ごすよりも、日本で学生のうちからアーティストやイラストレーターとして活躍の場を増やしたいと思い、テンプル大学ジャパンという三軒茶屋にある海外大学の日本キャンパスに編入。2020年12月の卒業まで過ごしました。(少し飛び級しまして、大学生活は3年間になりました。)


どちらの大学でも人とアートに恵まれて、学生の頃から、個展を開いたり、シンガーソングライターの竹内アンナちゃんのツアーグッズデザインをしたり、雑誌の挿絵を描いたり、KITTEの壁画を描いたりと、絵を続けてこれた、新卒アーティストです。






アーティストであるために。

子どもの頃から、私はよく友達や家族に、絵をプレゼントしていました。例えば誕生日プレゼントをあげようと思っても大したお金なんて持っていないから、自分で絵を描いて贈っていたのです。


絵を描くという動作は、とても時間がかかり、体力もいるからこそ、愛がその何十倍も詰まっている。だからとても素晴らしいプレゼントにもなるし、それを作る時間は本当に楽しいと思っていました。
そして本当に幸せそうに喜んでくれる友達や家族の笑顔が大好きで、月並みですけど、大切な人たちには笑っていて欲しいから、絵を描くということがとても好きになったのです。

『France -Market-』

2014 / Watercolor on paper

(中学2年生の頃の作品)



上記で述べたとおり、クロード・モネが画家の中で憧れの存在ですが、人との交流を可能にしてくれるこの表現の世界へと導いてくれた色褪せないこのような思い出が、私の人生にはたくさんあります。


ある人は、私に夢と人生の軸を与えてくれた。またある人は、一度も会うことはできなかったが、私をアーティストとしてはじめて認めてくれました。彼らは、「私はここにいる。」と作品を通して、叫ぶことに気づかせてくれました。


「自分の作品で、すべての人に手を差し伸べることができて、手の先にいる人たちを幸せにできるのが、芸術家である。」と教えてくれた友達と師匠たちに憧れて、愛されて、「自分の作品の前にある空間を、他者と共有したい。」と思うようになり、絵を描きはじめました。




『CURRENT』

2021 / Digital Art / A2 size




「リアル」を描きたい。

私は、自分の作品に「リアル」を表現したいと心がけております。そしてそれは、生涯の目標でもあります。


絵を描く時、または、見た世界をトレースしようとした時、目の前に広がる「リアル」から自分が遠ざかっていくような感覚があります。

「描けば描くほど、目の前の絵が裏切っていく。」


これが「絵を描く」ということだと思います。だからこそ、絵を見ることの価値もまた、見かけ上の矛盾にあります。


「言葉が、思い通り通じ合うことはない。人によって受け取り方感じ方は違う。」


これは絵も同じです。本当に伝えたいものは、見ただけではわからないのに、見えてる全てから読み取ろうと鑑賞しますよね。だからこそ絵というのは、本当の意味では、メッセージを投影する意図がないとも言えます。(そんな絵があれば世界平和かなっちゃいますよね。)


メッセージの伝達が最終目的だとするなら、絵は「その途中の役者」になってしまいます。そうではなく、私は絵を最終目的にしたいです。


「目の前のあなたのために、何かを描きたい」というナルシスト的な動機は持てないのですが、あなたが私の絵の前に現れることで、たった1つのあなたのための椅子が埋まるように、絵の前であなたが「あなた」に会えるように、そんな絵を描けたら、アーティストとして幸せだと思います。





『Love For People Who Love Art』

2020 / Acrylic and markers on canvas / F100 size ×2



これからについて。

これからも私は、自分でしか作れないような作品を作り続けたいと思います。求められている間も、求められなくなっても、死ぬまで絵を描いていると思います。


ありがたいことに学生の頃から、アーティストとして、雑誌の挿絵やミュージシャンのグッズデザインや、ブランドのロゴデザイン、オーダーメイドで絵も描いてきました。そして卒業後そのまま、フリーランスでアーティストとしてスタートを切れました。


日々に感謝し、小さいことにも感謝を忘れず、大好きな人たちと、私は絵を描きながら、過ごしていきたいです。そして「リアル」が描ける絵描きになりたいです。


この記事を読んでくださりありがとうございました。

あなたの目に私の絵がうつることを、幸福に思います。

いつか絵の前で会えますように。


IORI KIKUCHI

(過去の【アーティストの制作現場】シリーズはこちらから)

ARTIST DATA

 

IORI KIKUCHI

1998年東京都生まれ。湘南育ちのアーティスト。巨匠クロードモネの作品に憧れ、3歳から絵を描き始める。NYやパリでアートを学び、2020年テンプル大学ジャパンを卒業。2019年「TURNER AWARD 2018」で大賞受賞。「竹内アンナ」のグッズデザインを担当。幅広い表現方法で作品を日々制作中。

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