アートはインテリアのために【ロバートネルソンムーア インタビュー③】制作のルールと哲学に迫る
投稿日:20時間前に更新

目次
インテリアとアートの美しい調和を追求し、作品を生み出し続けるロバートネルソンムーアさん。
「万物はエネルギーである」という哲学のもと描かれる彼のアートは、飾られた場所に豊かな彩りとパワーを与えてくれます。
今回は、実際の制作現場を拝見しながら、空間づくりやデザインのルール、そして作品を通して伝えたい想いについて伺いました。
聞き手・構成:WASABI編集部(シナモリ)
撮影:アライルイ
ロバートネルソンムーアとは
紹介・経歴はこちら
ロバートネルソンムーア(Robert Nelson Moore)は、アメリカ・テネシー州出身の画家、デザイナー。
幼少期より独学を含めてデッサンやデザインを学び、グラフィックデザイナー、建築イラストレーターとしてキャリアをスタート。過労による体調不良をきっかけに、最先端の治療を求めて来日。2007年に名古屋へ移住。
ヒルトン・ジャパンのリブランディングをはじめ、多数の大手企業・ブランドの広告やデザインを手掛ける。
その後、アーティストとして「ICONSコレクション」や独自の「抽象表現主義」スタイルを確立。現在はインテリアと調和する一点物のアクリル画を中心に制作活動を行っている。
【主な作品・活動】
■富士通: NOMALを通じて、企業向け壁画を制作
■三菱UFJ銀行(MUFG): 本社にオーダーメイドの壁画を制作
■KDDI: 4地域を象徴するオーダーメイド絵画4点を制作
■トヨタコネクテッド: 名古屋・アフリカ向けに特注レースカーアートを制作
■新日本印刷: 本社ホール・壁画・会議室(2室)・社長室を含む全ウォールアートを制作
■ヤマギワ: 名古屋ショールーム及び三越百貨店内のヤマギワホームショップで、抽象画を小売展示・販売
作品制作について

-こちらが、普段作品を描かれているスペースですね。制作に入る前に行っている準備などはありますか?
ロバート: はい。基本的には決まった手順があって、まずは「音楽選び」です。その日の気分に合わせた音楽をこのスピーカーから流します。日によって違いますが、今日はテンポの良いハウスミュージックの気分です。
私にとって音楽は情熱の源泉であり、人生そのものです。制作に入る前は、外部の余計な情報を取り除くことが重要ですね。

私自身、ドラマーとして日本各地でライブやレコーディングを行うミュージシャンでもあります。
私の抽象画に見られるリズム、バランス、奥行き、アクセントといった要素は、音楽の持つエネルギーやパターンがそのままキャンバスへ昇華されたものなのです。

時々、音楽を使ったライブペインティングもやります。例えば、2時間ほどかけて、ギターの演奏に合わせて即興で絵を完成させていくパフォーマンスですね。大型ショッピングセンターのイベントなどでも行っています。
画材について

-現在、作品制作に使われている画材について教えていただけますか?
ロバート: 筆は、イギリスのWinsor & Newtonというブランドのものです。とてもいい筆で、18歳の時に画材店の方にいただいてから、気に入ってずっと使っています。
こっちの新しい筆はまだ柔らかくていわば「赤ちゃん」のような状態ですが、長年使い込んでいる古い筆は手に馴染んだ形ができています。
作品によっては、絵筆ではなく建築用のパテナイフを使って描いています。
-そうなんですね。なぜ建築用の道具を使おうと思ったのですか?
ロバート:掃除が簡単だから…というのは冗談で(笑)。これを使うと真っ直ぐな線や正確なラインが引けて、完璧にコントロールできるんです。
抽象画を描き始めた頃から愛用していますが、100円ショップやホームセンターでも買える身近なものです。

-描いている作品を、「完成した」と決めるポイントはありますか?
ロバート: それについては、自分の中の感覚がすべてです。
私のアートにはルールがあって、「余白」「メイン」「カラーライン」「テクスチャー(質感)」といった要素の調和を重視します。これらは純粋な絵画表現というより、グラフィックデザインのバックグラウンドから来ているポイントです。
作品全体のバランスと、空間の関係性が完璧に整った瞬間が、完成のタイミングなんです。
アートは空間のために存在する

-作品を飾る場所との調和も重要なのですね。具体的にはどのような点を意識するとよいのでしょうか。
ロバート: 作品を選ぶ際は、まず「色」を一つの基準にして探してみるのが良いと思います。ただし、部屋全体の色と完全に同じ色を選ぶ必要はありません。お部屋の中にある「ポイント」と合わせるんです。
この空間なら、ブラック、シルバー、ゴールド、そして木目などがありますよね。作品の中にある色や質感のポイントを、家具やカーペット、天井などの要素とリンクさせることで、空間全体に完璧な調和が生まれます。
そして、空間のテイストと作品の雰囲気がマッチしているかどうか。例えば、このお部屋のようなモダンな空間であれば、クラシックな絵画を置くとちぐはぐな印象になってしまいますよね。

空間と作品が美しく調和しているショールーム
私のアートスタイルは、絵画そのものを主張させることではありません。家具やインテリアが部屋の雰囲気を作るのと同じように、空間にあるすべての要素と調和し、その場所全体の価値を高めることを目指しています。
たとえ一見自由で無秩序に見える抽象画であっても、構図やバランス、色彩といった「デザインのルール」に基づいて描いています。明確な基準があるからこそ、美しく計算された制御と調和が生まれるのです。
シックでミニマル、そして日本の美学が息づく現代的な空間において、部屋の質感や色彩と100%シームレスに融合するアートを提供する—それこそが私の専門分野であり、生活の中で作品を楽しんでいただけることが何よりの願いです。

ー 作品の表面にはサインが入っていませんが、これにも理由があるのでしょうか。
ロバート: はい。作品の表にサインを入れると、どうしてもアーティストの存在が前面に出てしまいます。見る人には、純粋に「アートそのもの」や「空間の雰囲気」を感じてほしいのです。サインがあると、人の視線はどうしてもそこに引き寄せられてしまいますからね。
そのため、プロとしての証明や証明書代わりの落款は裏面に押しています。「IMAGINE Design」のロゴスタンプと、私自身のアート印鑑の2種類を裏面に押して完成となります。
鑑賞者・購入者へのメッセージ

ロバートネルソンムーア 『COOL ABSTRACT』
ー 作品を迎えてくださった方々に、どのようなことを感じてほしいと思われますか?
ロバート: 「万物はエネルギーである」というのが私の哲学です。エネルギーは新たに生まれることも消滅することもなく、ただ形を変えて移り変わります。
私が全身全霊の情熱や愛を注ぎ込むと、作品はまるで「鏡」のようにそのエネルギーを反射し、見る人へと伝えていくのです。
たとえば、大勢の人が行き交う駅のロビーや、賑やかなオフィス、レストランに絵が飾られれば、毎日何千人もの人々にポジティブなエネルギーを届けることができます。
作品を通じて皆さんが前向きな気持ちになってくださることこそが、私にとって何よりの喜びであり、最高の贈り物です。
ー ありがとうございます。最後に、記事の読者へメッセージをお願いします。
ロバート: まず、WASABIファミリーの一員になれたこと、そしてアーティストが創作に専念できる機会を与えてくださっていることに心から感謝しています。
「インテリアのためのアート」というポリシーにも深く共感しており、このプラットフォームを通じて多くの方へ作品をお届けできるのは本当に幸せなことです。
幼い頃から、どう実現するかは分からずとも「自分は表現者になる」ということだけは確信していました。
これまでの道のりには金銭的な苦労や事故、体の不調など様々な困難がありましたが、描くことを止めようと思ったことは一度もありません。時代や状況に合わせて形を変えながらも、常にクリエイティブな表現と共に歩んできました。
自分のスキルだけで13年間生活を続けてこられたのは本当に恵まれていると感じます。ですが、ここで立ち止まるつもりはありません。手が動かなくなるその日まで、常にフレッシュな気持ちで描き続け、これからも進化を重ねていきたいです。

まとめ
幼い頃に抱いた情熱と、長年積み上げた確かなスキルを信じて歩んできたロバートさん。
緻密なデザインルールと音楽の躍動が宿る作品からは、見るたびに心地よいエネルギーを受け取ることができます。
研ぎ澄まされた哲学から生まれるスタイリッシュなアートを、ぜひご自宅やオフィスに迎えてみませんか。いつもの空間を、より洗練されたものへと演出してくれるはずです。
ロバートネルソンムーア 作品紹介
▶ 「IMAGINE Design」 Official Website
▶︎ インタビュー①を読む

信じた道を進み続ける【ロバートネルソンムーア インタビュー①】作品に注ぐエネルギーの源とは
▶︎ インタビュー②を読む

すべての経験に意味がある【ロバートネルソンムーア インタビュー②】抽象表現に辿り着くまで

