「食と芸術のものがたり」@新宿中村屋。棟方志功の掛け紙に心ときめく美味しいひととき

投稿日:(日)

アート

目次

2022.3.11.UPDATE

愛される、新宿中村屋ビル

新宿中村屋ビルをご存知でしょうか?


2014年に商業ビルであるとしてリニューアルオープンした、「新宿中村屋ビル」。ベーカリーや個性豊かなレストラン等愛され続ける新宿の新スポットとなっています。


そんなビルの3Fにあるのが、「中村屋サロン美術館」です。





今年12月30日で、めでたく創業115周年を迎える中村屋。
それを記念して、中村屋サロン美術館では、"新宿中村屋 食と芸術のものがたり"が開催されています。


中村屋といえば「カレー」や「カレーパン」というイメージが浸透しているかと思いますが、歴史を紐解けば「中村屋」の創業者夫妻が芸術に深い造詣があり、多くの芸術家が出入りするようになったことが「中村屋サロン美術館」のはじまりです。


その後、明治・大正・昭和と長きにわたって近代芸術・文化に影響を与える舞台になっていったわけです。


これまで中村屋サロン美術館で開催された展覧会は、中村屋サロンに関わった芸術家たちをテーマにしたものが多かったですが、今回の展覧会では、まさに「新宿中村屋」の「食」にスポットが当てられています。
さぁ、みていきましょう!


看板メニュー「カレー」の驚きの伝来方法!

例えば、展示されている中村彝の《小女》という作品。


モデルは、中村屋の創業者である相馬愛蔵・黒光夫妻の娘、俊子です。 中村彝と俊子は一時期恋愛関係にあったようなのですが、俊子のヌード姿の作品を見た女学校の先生や黒光が激怒!
2人の仲は引き裂かれてしまいました。


さて、のちに俊子は、インドから亡命した革命家のラス・ビハリ・ボースと結婚します。 そのボースが、祖国インドの味を日本に伝えるため、中村屋に伝授した食こそが純印度式カリー。 ご存知の通り、中村屋の看板メニューです。





近くには、相馬・黒光ファミリーらの写真も飾られています。 なかなかの美男子・美女の集まりだと思いませんか?


中村屋のもう一つの看板メニュー・ボルシチも、展示されている絵のモデルを務める人物と深い関わりがあるのだとか。


描かれているのは、ウクライナ生まれの盲目の詩人ワシリー・エロシェンコ。 この絵を描いた鶴田吾郎の面倒を見たのも、相馬夫妻ですが、とある理由で国外退去命令を受けたワシリー・エロシェンコの面倒を見たのも、相馬夫妻。


その縁から、ウクライナ風のボルシチが中村屋のメニューに加わったのだそうです。


クリームパン、月餅など。まだまだある中村屋メニュー

さてさて、他の中村屋のメニューに関しても、エピソードがパネルで紹介されていました。


例えば、クリームパン。


実は、クリームパンの元祖は中村屋とのこと。 ある日、シュークリームを初めて食べて、その美味しさに驚いた相馬夫妻。 このクリームをあんぱんの餡のかわりに用いたら、と思いついたのが誕生のきっかけだったそうです。


また、今ではすっかりおなじみの月餅中華まん、さらには、現在のようにサクッとした口当たりのかりんとうを売り出したのも、実は中村屋。


日本の食文化に中村屋がどれだけ貢献したのか、思い知らされる展覧会でした。 当時から文化の交流地であったわけですから、異国の食文化に影響を受けたハイブリッドなメニューが次々に生み出されるのも当然だったかもしれません。


棟方志功が羊羹の掛け紙をデザイン?!

ちなみに、会場には、中村不折が揮毫した中村屋の看板や、太平洋画会の代表を務めた画家・布施信太郎による包装紙の原画、棟方志功がデザインした羊羹掛け紙の原画も展示されていました。





棟方志功といえば、20世紀の美術を代表する世界的な巨匠。 まさか、棟方志功が羊羹の掛け紙を手掛けていたとは…


色とりどりの掛け紙には「栗」「極上」など羊羹の種類が書かれています。棟方志功らしい鮮やかな色とのコラボレーションも見応えがあります。 無性に羊羹も食べたくなる展覧会でした。


1Fのショップではこんなものが!

さて、見終わったら完全にカレーパンが食べたくなってきてしまったので1Fへ。 いま見た展示の「羊羹」「月餅」「中華まん」「クリームパン」「カレー」と、中村屋が誇る商品たちがずらりと並んでいます。





あ!棟方志功の羊羹もありました。





変わらぬデザインのかりんとうも。


創業者夫婦を中心に中村屋で起こった食と芸術のドラマを楽しみながら、その後は同ビルでランチをする…なんてのんびりなデートコースにもおすすめです。




場所
中村屋サロン美術館
アクセス
各線新宿駅最寄り
会期
2017年2月19日(日)まで
休館日
毎火曜日
開館時間
10:30~19:00
観覧料
200円、高校生以下無料
詳しくはこちらから
https://www.nakamuraya.co.jp/museum/exhibitions/index.html#index05

 


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