2016.10.18

アート探訪

現代美術家の元で活動を続ける美術家、マエダトシユキ。
一度はスーツに身を包んだ彼は、何故絵に向かったのか?
現代美術家マエダトシユキインタビュー

WASABI責任者 平山 美聡

ペン

WASABI責任者 平山 美聡

マエダトシユキインタビュー

マエダが描く絵画は、驚くほどモチーフが詰め込まれており、シンプルな線で描かれているのにどこか生々しい迫力があります。その画風のルーツにある、マエダのアーティストとしてのスタンスとは?
アーティストの素顔、迫ります!



今日はよろしくお願いします!マエダさんの作品を今ちょっとお借りしているので、今作品に囲まれながらインタビューしています(笑)




そうですね(笑)よろしくお願いします。




マエダ


早速ですが、マエダさんの肩書きは「現代美術家」なんですよね。「画家」ではないのには何か理由があるんですか?




自分の中で、「今」に対するメッセージを込めて絵画を描いているので「現代美術家」と名乗っています。未来に僕の作品を見た人が、何か現代からのメッセージを受け取るようなイメージですね。




なるほど。 なんだかマエダさんの作品って不思議で、モチーフが詰め込まれているんですが、どこか空虚なような、それでいてディープな感じを受けるんですよね。




マエダ


そうなんですね。モチーフを詰め込んでいるのは、計算ではなくその時の本能のままに描いているんです。 右手を借りて、自分の心の中を放出しているイメージです。




見る人によって受ける印象が全然違うかもしれませんね。見るたびに新しいモチーフの発見があるので、ストーリーも変わりますし…




そうですね、見る人に驚いて欲しい!っていうのはあります。



 

ひとつの節目になった大学時代の個展



そもそも、なんで絵を描き始めたんですか?




僕、物心ついた頃には、皆さんと同じようにそこかしこに落書きしていました、教科書やノートの半分を埋め付くして担任に良く怒られてましたね。だから絵はずっと描いていましたが、大学は絵画専攻ではなくデザインコースを出ているんです。その時の教授が変わった人で、その人に目をつけられ…いや、目をかけてくれました。




目をつけられたんですね(笑)




はい。その教授が、いきなり「個展しませんか?」といってきたんです。最初は嫌だったんですが、「同級生で個展した人はいないので、最初の一番になれますよ」っていわれて、「それはいいな」と(笑)




マエダ


確かに、それはいいですね!じゃあそれが、マエダさんにとってのアートとの出会いだったわけですね。




そうですね。そう決まってから、教授がいろんな画集をもってきて僕に見せてくれた。「アート」を教えてくれました。




その教授とであって人生が変化したわけですね。人のご縁って面白いですね。個展をして、マエダさんの中で何か変わりましたか?




よかったのは、絵を見て人がどういう反応をするかをじっくり観れたこと。その反応を見るのが嬉しくて、どんどんはまっていきました。 その後も、場所はその教授がいろいろと提供してくれましたね。



 

「失礼します」って挨拶した時に、違うなと思った



では、そうやって絵の道に進んでいかれたんですね。




いや、大学3回生の時に、就活は始めたんです。でも、皆がスーツを着て、並んで、頭を45度下げて「失礼します」って挨拶の練習をした時に、違うなって思ってしまった。 それで、ニューヨークに行きたいと思って、資金を貯めるために現代美術家の元で住み込みで働き始めました。




え?!ニューヨークですか。いきなり?




はい(笑) 僕、バスキアが好きだったので、バスキアが住んでいたブルックリンに滞在したくて。




マエダ


なるほど・・・その現代美術家の方とはどこでお知り合いになったんですか?




5年前、アシスタントの募集に人事が大学に来たんですよ。その時は授業があるのに寝坊してしまい、大学にむかっているところで偶然、募集が今来ていると教えてもらいました。大きい絵画を作るのに人が足りなかったらしく、話を聞いて面白そうだと思い、そのまま駆り出されたことがきっかけです。実はその方の元で今も働かせてもらっています。




え、どなたですか?




〜略〜


・・・・すごい方ですね。驚きました。マエダさん、人の運がすごく強いですね。




そうかもしれません(笑)




それでニューヨークへ行かれたと。すごい行動力ですね!




まず英語が喋れなさすぎて、空港の検閲で捕まったんですが「NY ART LOVE」っていったらオッケーでした笑。そうして、ブルックリンに3ヶ月間滞在したんですが、途中でクレジットカードのトラブルでお金が下ろせなくなって・・・




なかなかハードな経験されていますね。でもマエダさん、なんだか飄々と乗り越えてそうな印象です(笑)



 

生み出したキャラクターの責任をとる



そうして大学生活が終わって、美術家として活動を始められたんですね。 マエダさんの絵って、リアルな絵柄ではないのになんだか生々しくて、ドキッとするような存在感があります。このスタイルはどうやって生み出されたんですか?




いつだろう…?ずっと人を描いていたんですが、コミックの影響は受けていますね。なぜだか、眠いときとか、お酒を飲んだ時のほうが面白いものが出来上がります。




マエダ


より理性がなくて、本能に近い状態になるのかもしれませんね。そういう本能的なものを感じる絵ですよね。




あと、ガイコツのモチーフがよく出てきますよね?綺麗に塗られたキャンバスの上に、ペタって貼られたようなガイコツがすごく印象的です。いい違和感というか。




マエダ


僕の中でガイコツは自分なんです。そもそもはガイコツ部分だけ落書きで描いてたんですが、そのまま終わらせるのはかわいそうだなと思って、ペラペラの紙に描かれてたドクロを、イラレでパスを引いて、シルクスクリーンにしたんですよね。




じゃあこれは、下地の絵の上にシルクスクリーンで描かれているんですね?なんだかたくさんレイヤーがあるような。




そうです。これだったら、パネルにキャンバス塗って、金のラメ塗って、ヤスリで削って、シルクスクリーンでアクリル!ですね。




マエダ


すごい!実験的なことをいろいろされてるんですね。




はい、追求したい派ですね。そうやって自分が産み出したガイコツに対する責任をとりました。



 

日本人特有の感覚を大切にしたい



自分が作ったものに対しては責任を感じますか?




日本特有だと思うんですが「すべてのものに命が宿る」という考え方がありますよね。




八百万の神、的な考え方ですね。




そうです。それが自分の中に根深くありますね。ニューヨークにいったからこそ、逆にそういう日本的なものが強くなったのかもしれません。




日本人だからこそ出来る表現についても考えますか。




そうですね。もっと日本人はバカしてもいいのにな、と思います。表現やものづくりに、常識の天井が見えてしまっているような。だからこそ、「俺は日本人だ」って胸を張れるような作品を発表していきたいです。




でもマエダさんの絵って、すごく日本的なものを感じます。モチーフではなく、色使いですね。例えばこの、金と黒と紫なんて、すごく日本的ですよね。




マエダ


そうですね。やはり日本発信のアートということは意識していきたいです。




今も精力的に活動をされていますが、今後何かチャレンジしたいことはありますか?




見た人にパンチを与えられるような、もっと大きな作品を作りたい。そしてみんなを驚かせたいですね。今は12月のイベントに向けライブペイントの準備をしています。 僕は、一時期は就活していましたが笑、アーティスト以外だと生きていられないと思います。絵だけは飽きなかったんです。 一生続けられるんであれば、それが幸せだと思っています。




今後の活動も楽しみにしています。
マエダさん、ありがとうございました!た!



 

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