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2020.07.28

イベントレポート

都築崇広『合板都市 Plywood City』レポート

コーディネーター川縁

ペン

コーディネーターmeiko


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東京、曙橋。

A2出口を出て、商店街の中を歩くこと5分。


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お目当てのSYP Galleryの看板が現れる。


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看板の手前を左に曲がり、お寺へと続く私道をゆく。


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すぐに辿り着いた。


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ガラガラと引き戸を開け、涼しい室内に入る。



目の前広がるのは、都築崇広による3つの作品。



今回作品のベースとして使われているのは

構造用の合板(ラーチ)と、内装でよく見かけるようなプリント合板。



木の香りが鼻をくすぐるのはそのせいだ。



入口のすぐ左側に置かれた作品説明の用紙とポストカードを手に取り、

作品の前に立つ。


ででーん。


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まずは1作目。


木の板に貼り付けられているのは、誰もが一度は見たことがあるであろう、マンションの広告チラシ。

昔はチラシの裏が白かったから画用紙代わりにしてたっけ。


そんな広告は、何も無造作に集められた訳ではないようだ。



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これは日差しが照りつける日中の高層マンション。



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こっちは高層マンション×戸建てのよくある街並み。


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圧倒的都心感。で、夜の風景かな。


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戸建てが並ぶ住宅街。





「現代の洛中洛外図みたいな感じです」

と、アーティストの都築さんは表現した。



時空を越えた鳥瞰的なその考えは

住人の日々の営みを讃えるでも蔑むでもなく

ただそこに在るものとして捉えているようにも感じられた。


それって案外難しいのよね。


都心は「人が冷たい」とか「緑が少ない」とか

何かと敬遠されがちだけどさ

喪失と再生を繰り返すのはどこでも同じじゃない。


今は人影のない山郷だって

別の命が住んでいるんだろうし。



そういえば昔、五箇山(富山県)を訪れたとき

雪が積もる山々の壮大さに驚いたな。

「豊かな自然とはこのことか!」

と肌で実感したの覚えている。




頭の中で、山々と住宅の連なりを重ね合わせてみる。


「人間は家に住む」

そんな当たり前のことを作品から学んだ。





お次の作品。


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一都三県を結ぶ国道16号線。


この道路を利用する人はよく知っていると思うが

どこを通っても車から見える景色はほとんど同じである。


自分が運転しているはずなのに

流れるプールのように

勝手に景色が遷移していくような感覚さえ覚える。



プリント合板の木目を眺めていると

次第に砂漠に迷い込んだ気分になってくる。


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上下左右どこを見ても

同じお店ばかり。


あれ...自分の現在地が分からなくなってきたぞ...


信じるべきはカーナビか、自分の心か...



無論カーナビであるわけだが

「ちょっと歩みを止めたいな」と思っただけなのに

それを許さない、厳しい作品だなと勝手に思った。





3つめ。


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縦長の作品。

広がるのはピカピカに輝く看板ばかり

これまた国道16号線。


少し見辛いのですが

看板の部分がキラキラしています。

そこにはマニキュアが塗られているそう。



煌々と照りつける月をよそ目に

看板とは我が物顔で周辺地域を見下ろすものだ。


「電気の無駄遣い」

だなんて言われてはいるけれど

夜道を歩くときその眩しさに安堵している人々は

どれほどいるのだろう。



さっきまでは砂漠に迷っていた自分。


この作品を眺めていると

どこへ向かうべきか、分かる気がした。








帰りに寄ったカフェの内装が

偶然にもプリント合板で仕上げられていた。


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同じリズムの繰り返しに囲われた中で

先の読めない動きをしているのは

人間だけであった。



あっ。そうか。


複製されたイメージがいくつも折り重なったこの世界では

人間こそが新たなパターンを生むことができるのか。




このことに気がついたとき私は

個展を通して感じたアーティストの視点


すなわち

対象物を『ただそこに在るもの』として捉える冷静さ


それが自分にも乗り移ったような気がした。






※現在この個展は終了しています。

(開催期間:2020年7月2日~7月19日)

\[SYP Gallery]次回個展情報/

内藤忠行《W3》

7月30日(火)~8月16日(日)(木~日の13時から20時まで営業)

★オープニングレセプション: 8月1日(土)18時~20時


場所:東京都新宿区住吉町10-10

連絡先:info@sypgallery.com

詳細: https://sypgallery.cargo.site/


ご興味のある方はぜひ足をお運びください!






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