2018.10.05

    アート探訪

    「絵を描く」を仕事にして生きるために。
    モデルケースに学ぶノウハウ(3) 値付け、売り方編

    WASABI責任者 平山 美聡

    ペン

    WASABI責任者 平山 美聡

    「絵」を仕事にするためには、自分のポジショニングからはじめよう


    アートに関わる人なら誰もが一度は考える(もしくは世間からそう見られる)シビアな話…。それは「絵を描くを仕事にできるの?」「絵で食べていけるの?」ということです。


    正解はないけれど、とりあえずモデルケースの人から話を聞きたい!!…ということで、今回は美大卒ではなく、サラリーマンからアーティストに転身し絵を仕事にしている山田サトシさんにインタビューにご協力頂いています。


    第1回目は「売れるアーティストになるにはポジショニングが大切」ということで、PRや営業活動の前段階に必要なことは何か、お届けしました。



    第2回目は、ポジショニング設定後「どのようにPRや営業活動をしていけばよいか」についてお伝えしました。




    そして最終回である今回。PRや営業活動をして法人から仕事を頂いた時、はたと思い当たる疑問…「いくらで売ろう?」「自分の価値っていくらなのだろう?」


    相場が決めづらい世界であるアートやデザイン分野において、自分を安売りすることなく、正しい価値で売り込むにはどうしたらよいか、山田さんの実体験に基づいてお伝えします!!




    自分の価値作りはHP作りから


    さて今回のテーマは作品の値付けとか、ギャランティとかのお話ですが…こういうのはサイトにもある程度掲載した方がいいんでしょうか?



    絵をどこに、どのように売り込んでいくかにもよるともいますが、今回は企業向けということでビジネスライクなお話をしますね。 絵の価値=値段って色々な要素が組み合わさって決まります。 本当にざっくりですが、値段=原価+自分の価値+利益となります。原価には人件費(労働時間)実費(画材、キャンバス、電気代や交通費等)が含まれます。価値は自分の経験値と言い換えてもいいかもしれません。アーティストとしての新規性や希少性、知名度などですね。



    注目イメージ


    さて、長くなってしまいましたがサイトへの掲載でしたね。 具体的に記載しなくてもいいともいますが、どのような材料で制作しているかやその製作時間など載せておくと見る側も想像しやすいですよね。



    というと…?



    例えば僕のこのアート。リキッドアートと呼んでいるんですけれども…





    綺麗ですね…!宝石の断面みたい。



    ありがとうございます。これなんかは、制作過程の動画も掲載することで、自然とかかる労力を理解してもらえるようになります。他にも実績別に制作期間があると大体の値段を企業側も想像しやすくなります。



    確かに絵にかかる労力って一般には想像しにくいかもしれませんが、映像で見ると自然に理解できますね。



    ですね。あとは、ギャラリー等に絵を売り込むなら受賞歴や個展歴は重要ですが、法人向けに仕事をするなら実績が多ければ多いほど信頼性が上がるので有利になります。そういう意味でも「何のためにサイトを作るのか」は意識した方が良いですね。



    なるほど。ちょっと余談になるけれど、肩書きとかも結構難しくないですか?色々な言い方ができるから。



    「イラストレーター」「アーティスト」「画家」「現代美術家」様々ですよね。 これもどうやって絵を売っていきたいかによるのではないでしょうか。



    たしかに「現代美術家」と名乗る方は、企業とのコラボレーションのイメージはあまりありませんね。でも逆にアカデミックな世界では強そうですし、受賞歴等がものをいいそうです。



    ギャランティの設定はどうすればいいの?


    いざクライアントさんとやりとりする時、ギャランティはどう設定されてるんですか?例えば…グリーティングカードのデザインをしてくれ、とか。



    まずは一般的な「相場」を調べます。その相場に芸術的な価値が乗っかって、自分の価格設定になるわけですが。自分の描く絵の労力に対し相場があまりに低い場合は要注意です。検討しましょう。



    なるほど。



    まずはカードのデザインなら、相場を自分なりに調べてから、それを参考に見積もりを出してみて電話で交渉してみましょう。この際の見積もりは少し背伸びをした見積もりで良いかと思います。



    そして電話してみると…おそらく話し合いになりますかね?



    注目イメージ


    そうですね。めちゃくちゃ高い金額を提示すると交渉の余地なく終わってしまう場合もありますが(笑)。まずは探り探りで良いと思います。 仮に何回か電話して交渉のステージに持ち込めたとしますね。その際、原価の詳細は言わず、「材料費」や「著作権の帰属」等の駆け引きに使えるであろうカードはとっておきます。



    というと?



    例えば見積もりが高すぎると言われた場合、「では、画材費込みとさせていただきますので」と説得することができます。または、相手からの提示金額が安かった場合。「では1年契約で、それ以降は著作権料として別途頂きます」と、著作権の期間を盾に交渉に持ち込むことができます。この辺は探りながらお互いが納得でき、かつWin-Winの関係になる落としどころを探していきましょう。



    なるほど、そう考えるとフレキシブルに交渉できそうですね。



    もちろんギャラが少なくても高いPR効果を見込める場合は価値がある仕事です。実績作りも重要ですので、頑なになりすぎずに今後もいい関係を作る前提で話し合いできたら良いですね。



    いい人脈作りは本当に大事ですよね。それと、著作権の帰属はどうでしょうか?



    できれば譲渡せず、アーティスト側にあったほうがいいですね。というか、個人的にその方が嬉しいです(笑)著作権などは完全譲渡だけでなく、使用期間を限定するやりかたもあると思うので話し合ってみるといいです。また、契約書も交わすことになると思うのでしっかり確認しましょう。



    あとあと何があるか分かりませんから、お互いクリーンに仕事をするために必要ですね。



    注目イメージ


    そうそう、個人で仕事をする場合には源泉徴収もしっかり考慮してギャランティを設定しましょう!!引かれてしまいますからね…(涙)



    源泉徴収!!曲者ですよね…。今回はデザインとしてアートを使用した場合のギャラの話でしたが、アートとして一点物を販売する時には値段をどのように決めていますか?



    これもインテリアの一部としてみるのか、美術品としての資産としてみるのかで値付けの方法は変わってくると思います。インテリアとして売るとなると、一般的には原価の2倍〜3倍が相場でしょうか。



    なるほど。わかりやすい目安になってよいですね!!



    コラージュは注意?!知的財産権はプロに聞くべし


    あとメディアなどの露出にあたり、僕のようなコラージュ作家が特に注意したほうがいいのが「知的財産権」です。



    なるほど。有名になればなるほど問題になりやすいところですね。



    すごく難しいんですよね…コラージュでも、新聞はOKだけど雑誌のタイトル等はNGとか。デザインの中に文字(フォント)を入れるとすると、フリーフォントでもNGの場合があります。フリーフォントの規約変わる場合もないとは言えないので。一番安心なのは素材から全て自分で作ることですけどね。ケースバイケースなので、企業とコラボする場合は相談したほうが良いです。グッズなどを作る際も注意してくださいね。



    個人の趣味の範囲だと大丈夫でも、商用になったらNGなことも多いですからね。慎重に制作したほうがいいですね。




    いかがでしたか?


    3回にわたり、山田サトシさんに「絵を仕事にして生きていくためのちょっとしたコツ」についてお話頂きました。 売り込み方は千差万別ですが、ちょっとしたコツを踏まえて見る角度を変えるだけで、上手くいくことがあるかもしれません。

    3回に渡りありがとうございました。自分が悩んだ分だけ少しでも将来を担う若いアーティストの皆様が悩まないように、お役に立てばとお話しさせて頂きました。素敵なアートライフを。


    一人でも多くのアーティストの方の参考になりますように!!



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