2018.06.14

    アート探訪

    「絵を描く」を仕事にして生きるために。
    モデルケースに学ぶノウハウ(1) ポジショニング編

    WASABI責任者 平山 美聡

    ペン

    WASABI責任者 平山 美聡

    「絵」を仕事にして食べていけるの?


    無限に広がる色とりどりの世界で、私たちの目を楽しませてくれるアート。


    その一方でアートに関わる人なら誰もが一度は考える(もしくは世間からそう見られる)シビアな話があります。それは「絵を描くを仕事にできるの?」「絵で食べていけるの?」ということ。


    もっとも目まぐるしく時代が変わる昨今、もはやこの問いかけはアートの世界だけの話ではなく、すべての職業につく人が共通して持ち続けるべき疑問でもある気がします。しかし、そうは言ってもやはりアートの世界が特殊であることは間違いありません。


    アートの発展はその国の文化の発展でもあり、豊かさのために必要である!!と個人的には言い切れますが、一般的には嗜好品であり普遍的なニーズが存在しないのも事実です。


    じゃあどうやったら絵を仕事にして食べていけるの?


    もちろん決まった模範解答はありませんが、モデルケースから学ぶことは出来ます。


    今回は美大卒ではなく、サラリーマンからアーティストに転身し絵を仕事にしている山田サトシさんの例をご紹介。強烈なアーティストの個性による美術品としてのアートではなく、ライバルが少ないところを狙って自身をブランディングしていくマーケティングの側面から学べることを、連載でお送りしていきます!!





    山田さん、今日はよろしくお願いいたします。



    よろしくお願いします。僕は経歴が特殊なので、参考になる方とならない方がいると思いますが、頑張ります。



    ありがとうございます。山田さんは何故アーティストになったんでしょうか?理系で研究職ってかなり安定した道を歩まれていたように思われますが…



    juliet


    趣味で絵は昔から描き続けていたんですが、ある日仕事で体調を崩した時に「人生一度だからやりたいことをしよう」って思い立ちました。その時小学校の文集を見返したら、将来の夢という欄に「研究者」と「絵の先生」と書いてあったんです。で、絵を仕事にしようって。



    なるほど…簡単に思い切れることじゃないですよね。では、ぶっちゃけたことをお伺いしますが…山田さん、いまどれくらい稼いでます?



    直球ですね!!(笑)
    でも、このテーマを語る上で欠かせないですよね。…正直にお話すると、前職の時以上の月もあればゼロの月もあります。



    すごい!!!
    しかし、前職以上の月もあるということですね。具体的にはどうやって稼いでいるのでしょうか?



    やはり単価の高い法人相手の仕事が中心になりますね。ただ、この時の仕事の値段の決め方や進め方というのも自分なりのルールがあります。アート市場は相場がわかりづらいですから。



    自分を安く見積もりすぎてもいけないですよね。でも今日は具体的なお金の話は後にして、まずはアーティストとしての自分自身をどう位置付けるか、というお話を聞かせてください。



    一番最初に実施すべきとても大事な部分ですね!




    稼げるアーティストになるには、ポジショニングが大切


    強烈な個性のままに描き続けて売れる人もいますが、その人は今回のケースには当てはまらないですね?



    そうですね、それが一番の理想ですが。今回はある程度商業的に売れていくことを目的としてお話します。アーティストもですが、イラストレーターの方も参考になるかもしれないですね。



    なるほど。



    売れていくステップを簡単に言うと、適切なポジショニング→PR活動(イベントの出展など)→営業活動→受注という感じでしょうか。



    ポジショニングが大事、というのはなんとなく分かります。「○○の絵といえば、誰々!」みたいな分かりやすさは第三者視点からすると大切ですよね。山田さんはコラージュ作家として活動されていますが、どのようにポジショニングをされたんですか?



    まずは、自分のポジションを確認することです。僕の場合は「コラージュ」という枠で括った時に、どれくらいのライバルがいるのか、すでに有名な人はいるのか。 ちなみに自分がコラージュを始めた頃は10年程ですからほとんど見なかったですね、商業ベースとしてやられている方は。



    juliet


    なるほど。もし有名な人がいるとなると、その人と戦わなくてはいけないんですもんね…。



    そうです。それはあまり得策ではないので、次にコラージュという手法で何を表現するかを考えました。 例えば動物の作品を作ったとしても、動物をテーマにした作品ってとてもたくさんあるんですよね。そこに切り込んで売れていくには、強烈な個性やセンスが必要不可欠になります。



    確かにイベントにいっても動物のイラストやアートはたくさん見ますね…。



    はい。そこで最初の入り口にしようと思ったのが「バレエ」というジャンルです。



    「バレエ」ですか?



    はい。ニッチなジャンルですが、市場が成熟していないと感じたんです。バレエのアートワークを探してみても明らかに子供向けの商品が多かったり、ポーズが間違っていたり。そこで細部のポーズにまでこだわった大人向けのおしゃれなものを作れば需要はあるな、と。



    なるほど!!おそらくターゲットは余裕がある方ですしね。



    そうですね。合わせてネットで調査もしました。大人向けバレエ教室やバレエを使用したストレッチ教室が都内で増えてるな、とか。それって需要が増えて行くっていうことですから。



    そこまでされていたんですね。



    juliet


    そうすると、後が楽です!「バレエのアーティストの山田サトシ」というポジションを確立出来れば、どんな作品を作ってもいいわけですから。



    なるほど。作風はコラージュではあるけれど、ポジショニングとしてバレエを狙って行ったわけですね。



    そうです。もちろん、お客様の目にとまる唯一無二の画風、作風であることは大前提ですけれど。



    ちなみに…「みんなに手にとって欲しい」ではダメなんですか?



    「みんな」はくせ者ですね。アーティストとしての本望はそこだとは思いますが、ポジショニングとしては適切ではありません。例えば女性を口説く時に見境なく口説いたら見限られちゃう。絞って本命を本気で口説くべきです。そして最初はライバルが少なそうなところを狙うことです。



    女性の例、分かりやすいですね(笑) ちなみに自分のポジションを考える時に参考になるのはどんなことですか?



    僕の場合は、クリエイターやアーティストが集まるイベントに何度も足を運んで、ライバルが多いジャンルは何か、逆に少ないジャンルは何か考えました。



    ネットも参考にはなるかもですが、生の現場が何より大切ですもんね。




    ポジショニング設定が出来たら、地道にPR活動を


    ポジショニングを自分の中で設定できたら、次は認知してもらうためのPR活動ですね。山田さんは「バレエの山田サトシ」のポジションを確立するために、どのようなことをされたんですか?



    いろいろとしましたが、正直めちゃくちゃ泥臭いです(笑)でも、お客さまの反応がわかるとても楽しい部分でもあります。



    そうなんですね!!
    このまま聞きたいところですが…ながくなりそうなので次回に続きます!



    いかがでしたか?
    今回は「ポジショニング」についてお伝えしました。


    もちろんこれは山田さんの一例ですが、考えておいて損はないかもしれませんよ。


    次回はポジショニングを設定したあとの、PRや営業の仕方についてお伝えします!!


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